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心に残るコンサート、マルタ・アルゲリッチ [音楽]


魂を揺さぶられるようなコンサートを聴いた後は、聴く前の自分とはもう
変わってしまうものだと思う。
初めてアルゲリッチの演奏を生で聴いたのは、2000年11月21日(火)。
本当はその年の2月頃にコンサートが予定されていたのだけど、アルゲリ
ッチが体調を崩したとのことで中止になった。雨の中、仕事を終えて大急
ぎで駆けつけたら、ホール前で、本日の演奏会中止のお知らせだった。
ガックリだった。そして今度こそはという期待が余計膨らみ、トリフォニ
ーホールに向かった。席についてアルゲリッチの登場を静かに待つ。
アルゲリッチは一陣の風のように現れ、ペコリと無造作にお辞儀をし、椅
子に腰掛けたと思ったその瞬間、もうピアノの音は鳴り響いていた。
照明も間に合わないような速さだった。バッハのパルティータ・・・。
アルゲリッチがピアノに指をおいた最初の一音から、圧倒的な、音楽その
ものを歌いあげるような力を持っていた。唖然としながら聴いていた。
こんな風なピアノの音って今まで聴いたことがあるだろうか、と思いなが
ら。言葉で感動を表現するとか、誰かが評論するとか、そんな俗世界は、
完全に蹴飛ばされていましたね、あの演奏は・・・
すぐれた音楽家はみな超俗的な雰囲気を持つけど、アルゲリッチほど、超
越した風格を持つ音楽家はいないでしょう。
今までのところ、アルゲリッチのコンサートは私がチケットを買った5回
のコンサート中2回はキャンセルされている。アルゲリッチだから許され
てしまう。日本なんかに来てピアノ弾きたくなかったんだろうな、と勝手
に想像し、ミューズの女神が次に来てくれる日を待つのです。

*このときのプログラムは、バッハ、ショパン、プロコフィエフ、そして
 イヴリー・ギトリスとの共演でベートーベン、クライスラーなど。


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herosia

私の師匠がアルゲリッチ様と室内楽の共演した折りの話なんですけどね。リハーサルの休憩の時に、ポツリポツリと、みんなピアノの音を確かめに来るっていうんですよ。そして首をかしげて「普通のピアノだ・・」って帰っていくっていうんですな。わかりますね。2000年頃の話なんですが、共演した印象は「何ともセクシー」というんです。これもわかりますね。以前握手したときの手の火照りが今も続いています。これも神話ですね。
by herosia (2007-05-26 23:18) 

ゆき

この写真見ただけでポーッとしますよ、私は。
ピアノの音の話ですが、私も不思議でなりません。
フルートやヴァイオリンではあるまいし、ただ、叩くだけですよね。どうして違いがでるのか・・?
ピアニストの人いたら教えてください。
by ゆき (2007-05-26 23:48) 

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