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J.K.ローリングの魔法 [読書]

この厚さ

ハリーポッター7巻(完結編)の発売日を記念して。
J.K.ローリングは本当にすごい人・・・。シングルマザーで生活保護を受けて
子供を育てていた。エディンバラのカフェで子供を見ながら、何時間もハリーポ
ッターを書き続けていたという。
エディンバラはいかにもハリーポッターのストーリーが生まれそうな古い街だ。
ロンドンからエディンバラへ向かう列車はキングズ・クロス駅から出ている。
あの大きなドーム天井の駅のベンチに座って、サマータイムに切り替わったこと
を知らず、待っていた列車に乗れなかったことを思い出す。駅の大きな時計はサ
マータイムになっておらず、とんでもない時間を指していた。待っていた列車が
とっくに出てしまっていたことに気がついたのは、1時間も過ぎてからだった。
きつねにつままれたような不安な気持ちだった。
ハリーが毎学期、ロンドンからホグワーツ魔法学校へと出発するあのキングズ・
クロス駅は駅は本当にまるで魔法がかかっている雰囲気がある。

「ハリーポッター」は子供向けの本のようだけど、実はそこらの純文学や○○賞
受賞作品など吹っ飛んでしまうパワーある小説、と、本の虫であった私は思う。
もし「ハリーポッター」が、子供向け、とか流行りもの、とか思って敬遠してい
るとしたら(私もそうだった・・)本当にもったいない。
映画で判断するのもだめ。映画で主役を演じる子役達(今や若者?)は、とても
魅力的だけれど、それは小説とは関係がないこと。「ハリーポッター」は小説と
して完璧すぎて、映像は完全に負けてしまう。ホラーとオカルトとドタバタとメ
ルヘンがごちゃまぜになってしまった映画は、小説とは別のものを楽しむつもり
でいないとね。

7月21日の最終刊の発売日は、世界各国の本屋さんに愛読者が殺到。21日の
午前0時に売り出しだったそうで、友人は9時すぎに本屋に大勢人がいるので何
事か、と思ったそうだ。(アメリカのシアトルでの話)
アマゾンに注文した私の本もふくろう便ではないけれど、フライングせずにきっ
ちり21日に届いた。
英独米で24時間に1130万部が売れたそうだ。ロンドンの大手書店の店員さ
んは1秒当たり15冊さばいたという。シリーズ第6巻までの売り上げは64カ
国で3億2500万部というから、途方もない話だ。何と比べたらいいのか。

「早く読みたい!」と言っていた人がいたが、私は逆だ。この楽しみはそう簡単
に終わらせたくない。1巻、2巻はさっと読んだが、3巻頃からは本を読み終え
ることを惜しみ、一日に読むページを制限した。読み終えたらまた次の巻を一年
も待たなければならないのだから。一番長かったのは5巻766ページ、6巻と7
巻は両方とも607ページ。
今回の7巻が最終刊となれば、ますますゆっくり読まなければ! 
というより表紙と序文だけしばらく眺めていることにする。

ハリーポッターは誰にでも大人気の本だけど、読んでいるときは自分だけが、こ
んなにも好きなのだと錯覚してしまうから不思議。名作というのはそういうもの
かもしれない。ハリーの、子供なのにたった一人で巨大な悪に立ち向かい戦う姿
には本当に元気づけられる。限りなくハリーに感情移入してしまう。ハリーの苦
しみに比べたら、自分の仕事の辛さなど何ほどのことがあろう、と。
もしかしたら、作者のJ.K.ローリングも、ハリーを描くことによって勇気づけ
られたのではないか、と思えるほど。

6巻で、ダンブルドア校長先生が、死んでしまったことを私はどうしても納得で
きないでいた。You-Know-Who が生きながえているのに、偉大な善の象徴が死
んでしまうはずがない、本当は生きているのではないか、どこかにヒントが隠さ
れているのではないか、と何度も読み返した。次の巻で、生きているということ
にならないかと期待もしたけど、どうなんでしょう。
感動が文の端々にちりばめられ、まるで詩のような濃密な文章には感服です。

*この文の長さ、さすが私はハリーポッターのファンですね。


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コメント 4

herosia

テレヴィで映画を放映するときしか見ない門外漢ですが、おそらく作品の底流には自明のこととしての真実や善が存在しているのではないかと感じます。それはイングランド社会のスタンダードの部分でもあり、作者の個人的な基準であるものとがあると思いますが。たとえば個人の善意は全体の規範よりも重んじられる場合があること、それは勇気であること。そして異質なものを排除することは悪であることなどなど。そんなこと当たり前でしょと言っている作者の存在が感じられるのですが、これって正解でしょうか。
by herosia (2007-07-27 12:15) 

ゆき

個人の正義、勇気が一番に重きをおかれていますね。それは子供であっても、大人であっても必要なものだという気持ちを喚起させてくれるところが「ハリーポッター」の素晴らしさです。確かにイギリス社会のスタンダードな規範と関係があるかもしれません。イラク戦争の反対のデモが80万、100万人というお国がらですからね。もう一つ、世の中には残念ながら、戦わなければならない悪が存在するという事実をヴォルデモートが象徴しています。社会のあらゆる悪と不正義をあらわしていて、それはいつでも身近なところに見つけられるのです。
by ゆき (2007-07-27 14:36) 

じゅんじゅん

さっそく英語版を取り寄せて読破しようとしているのですね。さすが、タマラさんですね。私は英語を原書で読むということは言うまでもなく、翻訳本というのにそもそもなじめないのでハリーポッターについては、ふーん、という程度で手にとってぱらぱらとめくったことぐらいはありましたが、読んでみようとは思いもしませんでしたね。ただ、J.K.ローリングについてはTVでそのドキュメントを見て関心を持ちました。かなり、きかんぼうなハリーのようないたずら好きな(それもかなり度を越した)男の子が一心不乱に読んでいる光景を見て、なるほど、それだけ子どもを(子どものみならず大人も)引きつける魅力をこの小説は持っているのだろうな、とは思いましたが。私ってロマンチストではないんですね。
by じゅんじゅん (2007-07-28 21:25) 

ゆき

読み始めのきっかけは、手元にその本がたまたまあったから。時間つぶしに、いやいや読んだのですけど・・。(実際、最初の40ページくらいは苦痛なだけでした。)一巻を読み終えたときは、これはすごい本だと感じましたね。この本に触れたのはほんとうに偶然で、そうでなかったら、私は読まなかったでしょう。
子供に人気の本など全く見向きもしなかったと思います。「偶然」というのも、時に重要な役割を果たすものです。
by ゆき (2007-07-29 21:58) 

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