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ロンドン紀行/ルツェルン祝祭管弦楽団・マーラー3番 [旅行記]

(酷暑の日本から、まるで晩秋の気候のロンドンへ)
ホール外観
ホール中
Proms(BBCプロムナード・コンサート、毎年8月から9月にかけて8週間におよぶ音楽の祭典)の模様を。

ロイヤル・アルバート・ホールはハイドパークの前にある巨大な円形劇場。
ステージを囲む半円形の座席は6階までもある。6000人も収容する巨大で本当にきらびやかなホールだ。ビッシリ埋まった座席を見回すと驚いたことに、ステージの真ん前のフロアーは皆立っていた。一番前が立ち見席なのだ。後から知ったことだがフロアーの真ん中には小さな噴水が泉に見立てつくられていて灯りが点っていた。今までにこんなにたくさんの聴衆を見たのは初めてだった。Promsの歴史は100年以上、庶民がクラシック音楽を気楽に楽しめるように始められたコンサートだ。ステージの後ろ中央、高い所にはこの音楽祭の第1回の指揮者でありプロムスの立役者のヘンリー・ウッドの胸像が舞台と観客席を睥睨するかのようにライトアップされ輝いている。

本日はルツェルン祝祭管弦楽団による、マーラー3番。席に着いただけで演奏前の聴衆の期待感、高揚感が感じられ私もわくわくしてくる。
そしてルツェルン祝祭管弦楽団の登場。オーボエ奏者の吉井瑞穂さんの顔も確認できた。指揮者クラウディオ・アバドは熱狂的に迎えられ、演奏前から「ブラボー」の声が飛ぶ。アバドはロンドン交響楽団の首席指揮者および音楽監督を務めていただけあってロンドンでの人気はさすがです。

マーラー3番の第一楽章、ホルンの力強い響きで第一主題が奏でられた瞬間、はるばるロンドンまでやって来た感慨がわく。この大ホールは響きがすばらしく良く、ルツェルン祝祭管弦楽団ののびやかな演奏に身体中が包み込まれるようだ。第一楽章(牧神が目覚める、夏がやってくる)、第二楽章(牧場の花たちが私に語ること)、第三楽章(森の動物たちが私に語ること)、ここから歌が入る・・第四楽章(人間が私に語ること)の美しいメゾソプラノ、第五楽章(天使が私に語ること)では少年合唱団の清々しいボーイソプラノが響き、メゾソプラノのソリストと美しいかけ合い、さらに女声合唱が加わり華やかさと荘厳さが混じり合い、最終の第六楽章(愛が私に語ること)へと続く。夢のような世界だった。この100分間の演奏が終わると会場は拍手喝采とドーッとうなるような人々の声に包まれた。「ブラボー」なんて単語ではないのです。拍手だけでなく床をドンドン踏みならし、アンコールをする聴衆・・・感動の一時でした。

それにしてもステージ前のフロアーに立っている人達が一番熱狂しているように見えた。考えてみれば2時間近い大曲を、休憩もなしに、あんな風に立っているなんて、よほどのファンでなければできないだろう。かなり年配の人達も多かった。いくらファンだとしても100分もじっと真っ直ぐに立っているなんて、私にはできそうにない。体力がちがうのだろうか。アルバートホール前の長蛇の列はこの立ち見席を買う人達だったそうだ。

また6階も立ち見席だ。(いわゆる天井桟敷)後ろの方はすいている場合は寝そべって演奏を聴いている人もいる。1階フロアーも6階の立ち見席も当日券売りのみで、5ポンド(1100円ほどだそうだ。そしてここの6階で聞く音はまた良く響いていた。(別の日に試してみた。)こんなに楽しいホールが日本にあればいいのだが。

マーラーはもうどれが一番好きな曲がわからなくなってしまう。聞いているその曲があまりにも印象深いためだ。
一応、写真は撮らないで下さい、とアナウンスは入るが、演奏終了後は会場中写真を撮る人がいて、こうなるともう撮らなきゃ損という感じで、私も撮ってしまいました。

少年合唱団
6階から見る
ステージ後ろ青い光の中央上に輝いているのがヘンリ胸像です。


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コメント 2

kazunori

日本のコンサートは高すぎですよね、とくに海外のアーティスト。格差是正が必要です(笑)
あのアバド氏がオレンジジュースとサンドイッチに負けてしまうのがなんともおかしいですね。
by kazunori (2007-09-03 01:01) 

ゆき

今回のロイヤル・アルバート・ホールでのプロムスや、コンセルトヘボー・ホール、ルツェルン祝祭劇場でのコンサートなどを聴いたら、日本のコンサートは本当に高くしかもなんとなく淋しい雰囲気です。観客の熱狂ぶりが違いますね。ほかのものはすべて切り詰めても聴く価値は十分のコンサートでした!
by ゆき (2007-09-03 10:53) 

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