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東京シンフォニエッタ定期演奏会(第22回) [音楽]


東京シンフォニエッタの第22回定期演奏会。(2月23日、東京文化会館)
マーラー6番という大曲の後に現代曲を聴くのはどんなものだろう、と思っていましたが、良い刺激を受けました。マーラーが魂を吸い取ってしまうような作用を及ぼすのに対して、現代音楽を専門とする東京シンフォニエッタの演奏は、再び魂を活発に目覚めさせる起動作用でした。
プログラム4曲のうち3曲が日本初演。
1.ジャン・ルイ・アゴベ:レチュード・デ・フォルス
これは2本のフルートとエレクトロニクの協奏曲。(3本目のフルートがオーケストラの中に入っています。)フルート奏者、斉藤和志氏、斉藤光晴氏。華麗なテクニックを聴かせてくれました。先週、斉藤和志氏は東フィルでダニエル・ハーディング指揮、マーラー6番、チャイコフスキー『悲愴』の演奏があって、「演奏に感動する暇もなく、泣きながら譜読みをした」と冗談で語っていただけあって、なるほどアゴベの曲のフルート協奏曲は非常にむずかしいテクニックを要求されるもの。聴衆はおかげでたっぷり、楽しませてもらいました。アゴベ氏もステージで挨拶されましたが、アゴベ氏の家族(?)がずらっとすぐ後ろの席に並んでいて、6才位の赤いワンピースを着た人形のような女の子もいました。こういう小さな子には現代曲はどう聞こえるのでしょう。

2.ジャン・リュック・ダルベルイ:メガリテ
ホルンの有馬純晴氏は素晴らしかった。ホルンはとても難しい楽器というイメージがありますが、こんなにうまいホルン奏者がいたのか、と驚きました。
作曲家のダルベルイ氏もステージで挨拶。現代曲は作曲家を見ることができるのも大きな楽しみです。
マーラーや、ブラームス、シューベルト・・みな生前はさほど評価されなかったわけで、100年を経た今、愛されています。今の音楽は100年後にどう聴かれているだろうかと思うと、未来とつながっているような不思議な感じがします。

3.ジェルジ・リゲティ:6つのバガテル
フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンによる演奏。これは大変聴きやすい曲でした。5重奏が素晴らしい。よくこんなに名手が集まっている。こういうのをあちこちでやってくれないと、もったいないなあ、と思います。東京シンフォニエッタでもCDをぜひ出してほしいと思いました。

4.ジョン・アダムス:室内交響曲
東京シンフォニエッタとしては大きな編成の曲。日本的な感じ、バルトーク的な感じ、またジャズ風な感じもあり、弦(ヴァイオリン、ビオラ、コントラバス)の響き(と、うまさ)がきわだち、それに管が美しく調和して、とても良い曲でした。特にヴァイオリンには感銘を受けました。東京シンフォニエッタは本当に名手揃いです。

現代曲のコンサートとしてはかなり盛り上がり拍手にも心がこもりました。
ダルベルイ氏が最前列で、他の曲すべてに嬉しそうに惜しみない拍手を送っていらしゃいましたが、作曲家として、あのレヴェルで演奏されたら、やはり大満足で嬉しいのではないでしょうか。テレビで現代曲を多く取り上げると(といってもクラシックでさえあまり番組はないのですが)、子供の音楽教育にものすごく貢献するのに。(アゴベ氏は子供の音楽教育プログラムも積極的にやっているそうです。)

さて、斉藤和志氏のフルートの頭部管ですが、今回は新しい頭部管の音色をじっくり聴くことができました。音は・・かなりの存在感です。斉藤氏位になると、もう音はどんな音を出しても聴く方は満足し、感心してしまうのですが、新たな頭部管の音でさらに楽しみが広がりそうです。

この日の東京文化会館の小ホールのロビーにはフランス語が飛び交っていました。マーラーの魔力から解き離れることができたコンサートでした。


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