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ソニー・ロリンズ来日コンサート 2008年5月14日 [音楽]

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ソニー・ロリンズはやはりすごかった。
いったんはツアー引退宣言をしたロリンズですが、2年ぶりの来日で、再びロリンズの演奏を聴けるとはラッキーでした。
私がロリンズの演奏を聴いたのはもう10年ほども前(中野サンプラザ)で、そのときは確か鮮やかなピンク色のシャツを着ていて、すごい存在感で一人舞台のようだった。今回は白いシャツで、前よりも背中が曲がり、足下も頼りなげに見えました。
一曲目が始まり、演奏スタイルも前より丸くなったのかな、もう77才だから丸くなるのも当然だな、と思いながら聞いていましたが、盛大な拍手が鳴りやまぬうちロリンズは二曲目に移り、そのままぐいぐいバンドを引っ張っていき、三曲目へとつなげていく。
そうだった。ロリンズが派手なパフォーマンスをして観客に媚びるわけはなく、彼自身の気分の自然な流れにまかせているだけなのだ、と気付いたのでした。
三曲目の In a sentimenntal mood のカデンツァは素晴らしく、それまで必死になって双眼鏡でロリンズの姿を見ていた私ですが、やっとこのときになって、ロリンズの奏でる一音、一音が耳に染み渡ってきたのでした。その一つ一つの音の素晴らしいこと、フレーズの素晴らしいこと・・・。ロリンズは何だってできるのだな、どんな音だって意識せずに出せるのだな・・としみじみ感じたのでした。あんな巨大な国際フォーラムのコンサートホールに、暖かな音をいっぱいに響かせ、またときにはささやくようにハスキーになったり、ひそやかで美しい音で語りかけたり、聴いている私はただ音楽に身をまかせ、幸福感に満たされました。
後半戦は、ロリンズもますます乗ってきて、観客は喜び、ロリンズもそれに応えてかなりサービスしてくれたのです。
ロリンズには楽器を吹いているという感じはなく、テナーサックスとロリンズが一つの合体した存在であって、その存在が音楽を奏でているのです。
ただ楽器を楽しそうに持っているだけのように見えるが不思議です。
名人とはそうしたものなのでしょう。(ゴールウェイがフルートを吹いても、やはり吹いている、という感じはなく、ただ持っているだけのように見えるのです。)
77才になっても、あんな演奏ができるのだから、人間たとえ身体は衰えても、死ぬまで精進できるのですね。もう「聖者」・・みたい。

国際フォーラムは三度目ですが、あの巨大さ、あの人の多さはとても音楽を聴いたり、バレエを観たりする環境ではありません。どうやら月曜日に小ホールでもあったようで、これは追加の公演だったらしい。最前列の席を手に入れる人はどうやって手にいれているのか不思議です。最前列で聴きたかった・・・。
条件は悪かったけど、久しぶりにマエストロの演奏とはこういうものだ、と感激できたのだから満足です。

他メンバー;クリフトン・アンダーソン(トロンボーン)ボビー・ブルーム(ギター)ボブ・クランショウ(ベース)コーヒー・ワトキンズ(ドラムス)キマチ・ディニズム(パーカッション)
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シゲ

こんばんは。
私が初めて買ったジャズのLPはソニー・ロリンズのサキソフォン・コロッサスでした。そのSt.Thomasを初めて聞いて感激しました。マック・ザ・ナイフでしたね。
by シゲ (2008-05-15 21:04) 

sachat06

もちろん、St.Thomas聴かせてくれましたよ。
スーパースターは、年を取ってもカッコイイですね!
最近クラシックばかり聴いていたので、Jazzの楽しみ方を忘れていました。
by sachat06 (2008-05-15 22:16) 

ayu15

ポピュラー系もいいけど、ジャズ系もいいですねえ。
でもほんとポピュラー系に比べてジャズ系て聞ける機会少ないです。
by ayu15 (2008-05-15 23:15) 

sachat06

以前はしょっちゅうジャズを聴いていましたが、最近これを聴きたい、と思うコンサートが少なくなりました。
ジャズ界の勢いがなくなったのか、私が変わったのか・・よくわかりませんが。

by sachat06 (2008-05-17 21:03) 

じゅんじゅん

ソニーロリンズですかー。まだ、生きて活躍しているのですね。スゴイナー。
ソニーロリンズと言えば、昔聞いていた印象ではクールでソフィスティケイトされた演奏という感じでしたが、今もきっとそうなんでしょうね。私は最近、音楽自体聴くことがほとんどないので、ジャズの雰囲気もすっかり忘れてしまいました。
5月の連休前に、私が住んでるアパートの前にある達磨堂という喫茶店でもようされた、現役の芸大生の歌声を聴いたくらいでしょうか。生といえば。
by じゅんじゅん (2008-05-18 18:09) 

えんぼう

はじめまして。わたしも5月14日の国際フォーラム、行きました。2階席の前から4番目・・・ロリンズさんは小さくしか見えなかったけど、だんだんとその演奏に引き込まれていきました。特に後半戦はよかったですね~。ぽかぽかと陽のあたる、風の気持いい草原にでもいるような気持になりました。なによりソニーロリンズ本人がとても楽しげで、こちらも見ているだけでも楽しくなるようで、ほんとに満足できる演奏でした。CDでしか知らなかった人の生の演奏をきけるなんてほんとに幸いでした。国際フォーラムでの全曲目がどこかにないかと探していてこのブログを発見しました。
by えんぼう (2008-05-18 20:29) 

sachat06

>じゅんじゅんさん、お久しぶりですね!
ジャズ界は名プレイヤーはみんな若くして亡くなっていますね。ソニー・ロリンズの音はちっとも衰えていなかった、といのが不思議です。年を取ることは決して尻つぼみになることではないんだなあ、と恐れ入りました。
東京に住んでいるのなら、コンサートに行かないともったいないですよ。

by sachat06 (2008-05-18 21:29) 

sachat06

>えんぼうさん、こんにちは。
座席、わたしは2階の16列目でした。昨年ウェイン・ショーターも国際フォーラムで聴きましたが、本当にあの距離感には泣かされます。双眼鏡で見るなんて・・。
でも、演奏は良かったですね〜。後半になればなるほど良くなって、ロリンズはあの巨大なホールでも、観客に語りかけるように、楽しそうに、暖かな音を出していましたね。
まったく偉大なプレイヤーです!
曲目はわたしも2,3曲しかわかりませんでした。プログラムにも載っていませんでした。
CDに今回の曲は大体入っているそうなのですが。
by sachat06 (2008-05-18 21:42) 

herosia

 ロリンズはモーツアルトである、とつぶやく。するとパーカーがバッハで、ヘンデルがディジーであることはすぐ察しがつくわけです。さてベートーベンは誰でしょう。すぐわかりますね。頑固なまじめ人間。困るのはマイルスの位置づけで、バロックからストラビンスキーまで俯瞰してしまうタイムマシンのような存在なので人間を超越しています。
 1曲目は 「Sonny Please!!」 という最近の曲です。
by herosia (2008-05-19 22:09) 

じゅんじゅん

 ベートーベンは誰なんですか?頑固なまじめ人間?答えを教えていただければ、あ、そうかーと、今や音楽から遠のいた私にもわかるかもしれません。
 ロリンズはモーツアルト、パーカー(チャーリー・パーカーのことですよね)がバッハで、ヘンデルがディジーとありますが、ディジーというのは?ディジー・ガレスピーのことですか?
 東京都葛飾区金町で地元に長く愛された老舗ジャズ喫茶「JazzSpot38」の跡地に2005年末新たにオープンしたジャズ喫茶 Jazz inn Blue http://www.jazz-inn-blue.net/ 、長年、帰りに通りすがっていたのですが、今度いってみようかなと思っています。私の住まいのすぐ前には達磨堂 http://homepage2.nifty.com/darumado/ という、時々マスターの粋なチョイスで開かれるミニライブを見せてくれるアンテx-クな雰囲気の喫茶店もあり、なかなか良い環境ではあるのですが。
by じゅんじゅん (2008-05-20 20:40) 

sachat06

ベートーヴェンはジョン・コルトレーンでしょう。コルトレーンの演奏は襟を正して聴くような感じですね。
コルトレーンの演奏も生で聴いてみたかったです。おごそかに、そして真剣に、交響曲を聴くように聴いたでしょう。
マイルスとコルトレーンとロリンズ・・全くすごい時代があったものです。
写真のジャズ喫茶、きれいですね。私の経験ではなぜかジャズライブをやる所はきれいとは言い難い所が多いです。さもなくば「お高い」所か。
by sachat06 (2008-05-20 21:05) 

じゅんじゅん

 なるほどよくわかりました。私のジャズ生初体験は高校生のころに聞きにいったビックバンドジャズコンサート。確か、カウント・ベイシー楽団だったと思います。それから、マッコイ・タイナーのピアノも聞きにいったぞ。そして、渡辺貞夫のコンサートに初めて行った時に、「あー、日本にもこんなカッコイイ、ジャズミュージシャンがいたんだ」とえらく感激した思い出があります。
 写真のジャズ喫茶にリニューアルしたのは最近のことのようです。以前は毎日、前を通り過ごしながら、入ってみようなどとは決して思えなかったような汚なーい店でした。場末というよりも、ほとんど、営業してないような。わかるでしょ。
by じゅんじゅん (2008-05-20 21:29) 

herosia

正解だす。調子に乗ればエリントンはビバルディ。ベイシーはハイドン。ロマン派はハードバッパーの諸君。革新者たちの不思議な相似形。
by herosia (2008-05-20 21:32) 

sachat06

かの名前でこれだけ刺激される人がいるとは、さすがロリンズ。
by sachat06 (2008-05-21 21:53) 

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