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「デュオ・ア・ラ・カルト」の夕べ [音楽]

アマチュア音楽愛好家のクラシックコンサートに行きました。(ギターとフルート、二本のフルート、バイオリンとピアノ、という組み合わせ)
アマチュアでこういうメンバーを集めるというのは難しいことです。
特にギター、ピアノといった演奏会の柱がなかなか見つからない。
フルート、ヴァイオリンは無伴奏曲をやるのでなければ良い伴奏者がいないとお手上げです。伴奏は影ではなく、ある意味ソロよりもむずかしいと言われています。
ゴールウェイとフィリップ・モル、パユとエリック・ルサージュ、小泉浩と佐藤紀雄あるいは篠崎史子という風です。そういえば、ゴールウェイとアルゲリッチの「フランクのソナタ」はめちゃくちゃすごいですが。アルゲリッチと協奏できる奏者ってそうそういないでしょう。

さて「デュオ・アラカルト」はギターとピアノの演奏者に恵まれました。
今後の活躍も期待できます。
演奏はとても面白かったのですが、あそこはこうだ、ここはこうだ・・など思いながら一生懸命に聞いていたせいか、翌日おどろくほど疲れが残っていました。

感銘を受けたのはヴァイオリンとピアノのデュオ。ヴァイオリンの響きがあまりに素晴らしいので、休憩時間にお話を伺いました。プロかなあ、と思ったら普通のサラリーマンだとのこと。
「毎日どの位練習しているのですか?」と問うと、
「練習はあまりできないんです。今回も一週間前から少しやっただけで・・。」
「あの、どんなお仕事をされているのですか?」と立ち入った質問をする私。
「システム・エンジニアです。」
「ハァー。それって、すごく忙しい仕事なのではありませんか。」
「はい、けっこう。昨日も仕事を終えたのは12時過ぎ、つまり今朝で。」
「で、どなたにレッスンを受けているのですか。」とどこまでもしつこい私。(このヴァイオリニストの正体をつきとめなきゃ、と思っていたので。)
「レッスンというのは子供のとき受けただけで、やっていないのです。」
「それはびっくりです。あんなに素晴らしい演奏ができるあんて・・・。」
と絶句の私に返ってきた言葉は、
「30才を過ぎてから急に上手くなったのです。」

このきっぱりした物の言いよう。この人天才なのでは、と感じたのでした。

そして後半のプログラム、ヴァイオリンとピアノのデュオ「前奏曲と3つの小品」(M.トール)という印象深い曲が終わり、拍手していると、「今のは僕がつくった曲です。」

みんな唖然としたシチュエーションでした。。ピアノの人が(これまた素晴らしい弾き手でした)、そっと付け加えて、「どうしても始めに言えなかったのです・・。」と。
M.トールというのは聞いたことのない作曲家だと思っていたら、彼の名前(松本亨)だったのでした。こういうアマチュアがいるとは本当にびっくりしました。システムエンジニアをしているなんて何だかもったいないような・・。

さて友人はフルートだったのですが、上がってしまい、唇がふるえてどうにもならなかった、と言っていました。友人は小泉浩先生のレッスンを受けています。
翌日のレッスン時に「昨日は発表会があったのですが上がってしまって大変でした。」と報告すると小泉先生いわく、
「あがるときはあがる。練習不足でも、練習が十分してあっても、それとは関係なくあがる。」「演奏経験の深さとも関係ない。」「オレが一番あがったのは武満徹の『海へ』を初演した時だった。あのときは唇どころか首までけいれんしていた」だそうです。
そして「35才から40才の間は全くあがるということはなかった。なぜかわからんが。自信過剰の5年間だった。」とのことでした。名人の話というのはいろいろ興味深いです。

最後に「ところでピアソラはあなたにはまだ荷が重すぎるでしょ。」とバッサリ言われてしまったそうな・・・。
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コメント 2

herosia

 ここで音が聴けるので試してくだされ。(リハーサルだけど)
http://herosia.blog.so-net.ne.jp/2008-06-02
by herosia (2008-06-19 22:38) 

sachat06

コンピューターは便利なものですね。
フルートの音色は実際よりかなりやせて聞こえますね。ギターの方が録音に強いのかな・・。
by sachat06 (2008-06-20 21:29) 

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