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アンサンブル・ノマド第52回定期演奏会〜再生へVoL.3《祈り》エストニアから震災復興を祈るコンサート [音楽]

<コンサート覚え書き>

2015年3月15日(日)16時〜  東京オペラシティリサイタルホール
IMG_5107.JPG

<プログラム>
1,アルヴォ・ペルト(1935〜):鏡のなかの鏡(1978)
   佐藤洋嗣(Cb)稲垣 聡(Pf)
2. マレ・マルティス(1977〜):ウネキリ(2014)〜日本初演
   クリスティ・ミューリング(kannel)
3.アルヴォ・ペルト(1935〜):モーツアルトのアダージョ(1992/2005 )
野口千代光(V) 寺井 創(Vc) 稲垣 聡(Pf)

4. イムレ・ソアール(1969〜):シンキングボウルの唄(2014)〜世界初演

    木の脇道元(Fl)伊藤めぐみ(Cl) ヴィル・ヴェスキ(S.Sax)
    野口千代光 花田和加子 相川麻里子 川口静華(V)
    甲斐史子  齊藤 彩(Vla) 寺井 創 (Vc) 佐藤洋嗣(Cb)
    クリスティ・ミューリング(Kannel) 稲垣 聡(Pf)
    宮本典子(Perc・Syn)タモ・スメラ(Electronics)
    佐藤紀雄(Cond)

ー  休憩  ー

5.ヴィル・ヴェスキ(1964〜)/アンドレ・マーカ編曲:到達(1999/2005 ) 〜日本初演

   木の脇道元(Fl) 伊藤めぐみ(Cl) ヴィル・ヴェスキ(T.Sax)
   野口千代光 花田和加子 相川麻里子 川口静華(V)
   甲斐史子  齊藤 彩(Vla) 寺井 創 (Vc) 佐藤洋嗣(Cb)
   稲垣 聡(Pf)宮本典子(Perc・Syn)  佐藤紀雄(Cond)

6.イムレ・ソアール(1969〜):希望の唄11032011(2011)〜日本初演

   木の脇道元(Fl)伊藤めぐみ(Cl) ヴィル・ヴェスキ(S.Sax)
    野口千代光 花田和加子 相川麻里子 川口静華(V)
    甲斐史子  齊藤 彩(Vla) 寺井 創 (Vc) 佐藤洋嗣(Cb)
    クリスティ・ミューリング(Kannel) 稲垣 聡(Syn)
    宮本典子(Perc・Syn)タモ・スメラ(Electronics)
女性アンサンブルレガーロ東京(Choir)
    中央区・プリエールジュニアコーラス(Choir)
    佐藤紀雄(Cond)

7.奄美島唄「よいすら節」(編曲:高橋 全)
    朝崎郁恵(vocal ) 高橋 全(Pf)  菊地秀夫(Cl)

本日のプログラムは一編の格調高い『詩』のようだった。

1番 ピアノとコントラバスのデュオ。ピアノは目の前で弾いているのにどこか遠くから夢の中で聞こえてくるような音色で、コントラバスの深い響きと一緒に、聴き手を優しく包むような演奏だった。
こういうコンサートの始まりは好きだ。日常から離れ、音楽の世界に入るために、こういう静かな始まりは有難い。

2番 カンネルの演奏。カンネルという楽器は初めて聴いたが、雪の結晶が音をたてているような、あるいはが花びらが舞うような、ひそやかできらめく音。
演奏者のクリスティ・ミューリングさんは、非常に背が高くプラチナブロンドの長い髪をたらし、まるで童話に出てくる女王さまのような雰囲気の方だった。クリスティさんがカンネルを演奏していると、まるで不思議の世界の飛びこんだよう。

3番 ここでヴァイオリン、チェロ、ピアノの三重奏。
前の2曲が、とてもひそやかだったので、音が一気に厚みを増したのがきわだった。楽器が3つになると表現の幅はものすごく広がるものだとよくわかった。
なんと言ってもモーツアルトのアダージョがモチーフなので、とてもいい曲だった。

4番 チベットの若き僧タシ・デレクの夢を語った作品。タシの唱える誦経が流れ、そこにヴァイオリンやサックスやフルートなど西洋の音楽が不思議に絡み合って一体化し、静かに心を包んでくれるような音楽だった。
チベットのタシの唱える誦経は独特のメロディで、日本で聞く読経よりも私にはしっくりきた。

5番 サキソフォーン奏者、作曲家、プロデューサーであるヴィル・ヴェスキにより、テレビで放送された「90日間世界一周」のサウンドトラックとして1999年に作曲された。ヴィル・ヴェスキのサックスの音はすばらしかった。これがジャズだな〜!と思った。アンサンブル・ノマドのための編曲はエストニアのギタリスト、アンドレ・マーカによるものだという。明るさと重々しさ、心が豊かに広がっていく安定感があった。

6番 津波の犠牲者となった東北の人々に捧げる追悼作品。
エストニアと日本の民謡(ミイナ・ランボットが歌うクサールの民謡、朝崎郁恵が歌う沖縄民謡)が使われている。<素晴らしい日本の人々に癒しと救済、そして希望を届けるために、この二つの歌が大西洋を越えて出会った。紅き太陽が大地を照らすように、人々の心が永久に強く明るく輝くことを祈ってやまない(イムレ・ソアール)>(プログラムノートより)
しみじみと聴いた。

7番 奄美島唄「よいすら節」(編曲 : 高橋 全 )
テレビでもよ流れる朝崎郁恵さんの歌と本日の総メンバーによる演奏。
高橋 全さんがピアノを弾いた。
人の声(歌)が持つ力に圧倒された。歌というのは、直接的に、聴く者を癒す力をもっている。


「エストニアから震災復興を祈るコンサート」は感動的で、悲しみに満ちてはいるが、確かに小さな希望も感じられる、というコンサートだった。

このコンサート日の午前中、偶然にも、三留理男のドキュメンタリー写真集『被爆の牧場』〜3.11 FUKUSHIMA〜の細川牧場の細川さんにお会いした。いろいろ伺いたいことはあったが言葉が出てこなかった。


バルト3国の一つであるエストニアって、日本の人にはとても馴染みがうすい国だと思う。
そういう、日本から遠く思われる国の人々が、東北の震災に心を寄せてくれているというのは、闇を照らす小さな光の一つのように思える。

アンサンブル・ノマドの活動は、人間が抱えるさまざまな苦悩や悲しみ、感情を、国境を越えて共有することにつながっている。

次回は、「第53回定期演奏会〜ドイツ語圏Vol.1 : 抒情の系譜」

    2015年5月23日(土)東京オペラシティ リサイタルホールにて


実は10数年ほど前に、エストニアの首都タリンに立ち寄ったことがある。真夏のタリンは青い空に建物の壁がまばゆく光っていた。
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タリンの家並み
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