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アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》2017.12.22 [音楽]

アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》
メンバーによる協奏曲集   第4回目(第62回定期演奏会)
            〜 うたう楽器 〜

2017年12月22日(金)19:00  東京オペラシティリサイタルホール


1.J.イベール:アルトサクソフォンと11の楽器のための
                  室内小協奏曲(1935)
         サクソフォン:江川良子

2.A.ビニャオ:マリンバ協奏曲(1993)
         マリンバ:宮本典子

3.藤倉 大:ダイヤモンド・ダストーピアノ協奏曲第2番(2012)
         ピアノ:メイ・イー・フー

4.H.バスケス:デジャルダン/デ・プレ(2013)
         ヴィオラ:甲斐史子


12月22日は、9月23日から始まった4回にわたるアンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート”饗宴”(メンバーによる協奏曲集)の最終回だった。
長年のノマドファンにとっては、メンバーのソロをゆっくり聴けるというのは大変楽しみでわくわくする企画だった。
Vol.1 〜20世紀の華
Vol.2 〜音響の沸騰
Vol.3 〜拡散するクラシック音楽
Vol.4 〜うたう楽器

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現代音楽というのは耳慣れていないとかなり聴きづらいところがある音楽だと思う。
聴いていてこれはちょっとわからないな〜という感想を持つこともあるし、これはいいな〜と感じることもある。一つの曲の中でも、良いなと感じる部分とあまりしっくりこない部分があったりする。たまに、音がゴーゴーと渦巻いて苦痛なこともある。(セロ弾きのゴーシュの奏でる音に苦しんで暴れ回る猫になったみたいな気分・・)
それでも、なぜか、アンサンブル・ノマドを聴き続けている。
ノマドの音楽に向かう姿勢に惹かれるのかもしれない。

今回のシリーズについて、音楽監督の佐藤紀雄さんの言葉
「全てのソリストは今出来る最高の演奏をし、アンサンブルは全力でサポートし、そこから紡ぎ出された未知の世界を好奇心溢れる聴衆が全身で楽しむ至上の4ヶ月でした。」

最終回の1番目は、お馴染みのイベール、の曲。(フルートをやる人はみなイベールは馴染みといえるかもしれません。)初めて聴いても、あ、イベールだな〜とすぐにわかるメロディ。だからやはり聴きやすい。サクソフォンの江川良子さんの柔らかく流れるような音、それに合わせるアンサンブルが抜群の上手さ!いつも聴いているのにハッとさせられる。

2番、宮本典子さんのマリンバ。いつも一番後ろで様々な種類の打楽器を一言も話さずに(って、演奏中は誰も話しませんが、宮本さんの静かな集中力というのはすごく際だっているのです。)細い身体でマリンバを自在に演奏。すごい。

3番は、メイ・イー・フーさんの力強いピアノがアンサンブルを引っ張る。プログラムノートに「ピアノとアンサンブルはパッセージをやり取りする事より、ピアノの音から派生する豊かな倍音がアンサンブル全体に広がる効果を狙って・・」とあったが、題名の「ダイヤモンド・ダスト」が確かに見えるように感じた。作曲された藤倉 大さんが開場にいらっしゃっていた。

4番、20周年記念演奏会の最終回の、最後の演奏は甲斐史子さんのヴィオラ。
情緒たっぷり、民族音楽風のリズム、祭典の終わりを飾るにふさわしい演奏だった。
この曲を演奏する甲斐さんは本当に素敵で、途中の、花田和加子さんとのかけ合いは、2人ともうっとりするほどきれいでかっこよかった。

華やかに終わったコンサート。しみじみ感じたのは、アンサンブル・ノマドは女性メンバーがものすごくかっこいいということ。
それはノマドの魅力の一つだと思う。

今年の私のコンサート通いもこれで終了。
来年もアンサンブル・ノマドのコンサートを楽しみにしています。


* 蛇足ですが、アンサンブル・ノマドは何においてもセンスがいい。企画がいい。佐藤紀雄さんの力のこもった文学的なプログラムノートが素晴らしい。宣伝ビラのセンスもいい。
ステージ衣装も、黒い衣裳にそれぞれに何気ない工夫があって、ステージごとにまた何気なく変わるのがいい。甲斐さんと花田さんの間で、背を向けて指揮していた佐藤紀雄さんのチェックのシャツ姿もノマドらしくて良かった、です。







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4人組とその仲間たち 室内楽コンサート [音楽]

2017年12月8日(金)7:00〜  東京文化会館小ホールにて

<全音現代音楽シリーズ・その24>
四人組とその仲間たち 室内楽コンサート  (現代音楽の作曲家)
   《調和の原点Ⅱ ー 単色と双色の狭間で ー 》

池辺晋一郎 / 「バイヴァランスⅧ」2本のフルートのために
          小泉 浩(fl)  織田なおみ(fl)

金子仁美 / 「歌をうたい・・・(Ⅱ)」 リコーダーのために
          鈴木俊哉(rec)

酒井健治 / 「エーテル思想」 ギターソロのための
          鈴木大介(gtr)

西村 朗 / 無伴奏ヴィオラソナタ第3番「キメラ」
          伊藤美香(va)

新実徳英 / ピアノのためのエチュード ー神々への問いー第3巻
          若林 顕(pf)


池辺晋一郎作曲 小泉 浩&織田なおみ のフルートデュオについて

すべて世界初演。
5種類の楽器の世界初演演奏を聴けるというのはそれだけでも楽しい。
フルートのデュオ以外はすべてソロ演奏だったので、集中しやすく、現代曲になじみがない人にとっても、聴きやすいコンサートだと思う。

フルート愛好家の私は池辺さんの曲が一番印象に残った。
(以下、フルート演奏についての感想)

小泉先生と織田なおみさんの音が素晴らしかった。
2本のフルートの音のバランスが良く、最初から最後までひたすら美しかった。

小泉先生のフルートの向き合い方は、何をおいても音色が大事で、音色が気に入らなければどんなにテクニックがある奏者の演奏も評価しない。
それは、ことあるごとに話されているし、自分の音の追求も毎日やられている。

「その音はダメ。あの音色は良くない。」と言われてもどこがどうだめなのか、はっきりわかるまでにはけっこう年月がかかった。
最近ようやく先生の目指す音がわかるようになりかかったかな、というところ。
「明るい音」と「暗い音」という区別をされるが、これもけっこうわかりにくい。小泉先生が言われる「明るい音」というのは倍音がよく聞こえていることらしい。

理屈よりも耳の方で「良い音」がだんだんわかってきた。「良い音」は長時間聴いていても、疲れない、あきない。どんどん気持ちが上向きになっていくような音楽。
最初にいいなあ、と感じても次第に聴くのが疲れてくる演奏がある。
CDなんかだと、良い音の演奏は飽きないため、いつまでも聴き続けることができる。

今回の池辺さんの曲はとても素晴らしかった。後世に残るフルート・デュオ曲ではないか。
本番の前日まで曲について「あんな曲はできない、無理」とぶつぶつ文句をおっしゃっているので、一体どういう曲かと思ったら、あまり素晴らしい曲で驚いた。
「名曲でしたね!」と言うと「演奏者がいいんだ。池辺はあれよりもっと良い曲が書けるんだ。」と。(二人は芸大生の頃からの親友だそうなので)
ステージに上がった池辺さんもとても嬉しそうだった。

ギターの「エーテル幻想」を書いた酒井健治さんと演奏した鈴木大介さんのトーク(聞き手は西村朗さん)も興味深かく、面白かった。
鈴木さんが「もうステージから消えたいです。。」西村さん、「どこかうまくいかないところがあったんですか?」
鈴木さん、「いろいろありましたよ。」
西村さん、「大丈夫ですよ。みんな聴くのは初めてだから誰もわからない。」
なんてお笑いのような場面もあった。

現代曲というのは、まずその演奏にびっくりし、次にその曲を作った作曲家にびっくりする。作曲するときに頭はどう働いているのだろう、というのが素人の素朴な思考。
それから題名がなぜこんなにわかりにくく親しみにくいものが多いのだろう、というのも素朴な疑問。。

2月に、NHKFM「現代の音楽」でオンエアされる予定。
録音するの忘れないようにしないと。

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ビルギット・ラムスル [音楽]

パユの2回のコンサートを聴いた翌日、
12月3日(土)に<ムラマツ・フルート・フェア 特別演奏会>に行った。ここのところのコンサートへの足の運びようの多さは尋常ではなく、自分でもどうかしていると思ったが、私が日程を決めるわけではないので仕方がない。
(10,11,12月はコンサート目白押しの月なのです。)
かなりの疲労感を覚えながらも修行僧のようにコンサートに出向く。

この日の大きな目的は、ビルギット・ラムスルを聴くことだった。
私は多分ビルギットの一番古いファンだと自負している。

出会いはなんと2002年のこと。(今から15年前だ。)
フルートの練習がちょうど面白くなってきた頃、イタリアのシエナのキジアーナ音楽院のフルート夏期講習を聴講しに行った。はるばるイタリアまで!!
講師がエマニュエル・パユだったためもある。

キジアーナ音楽院のすぐ近くに宿を取り、4日間くらい聴講に通った。
そこでいろいろな国のいろいろな人のレッスンを見物した。
その中にビルギットがいた。
初々しくて可愛い人だったがずばぬけて上手かった。この女性はいずれ世界デビューをするのだろうな、とそのとき思った。
言葉を交わしたり、記念にノートに名前を書いてもらったりした。

その翌年2003年、
ピエール・ブーレーズが、各国の才能あふれる若手演奏家からなる『グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ』を率いて日本にやって来た。
曲は「マーラーの交響曲6番」。
チケットを買った。なんだかこのメンバーの中に、イタリアで会った女の子、ビルギットがいるに違いない、という気がした。

予測は見事的中!彼女がいた!!

このときの「マーラー交響曲第6番」の印象は鮮烈だった。
大巨匠ピエール・ブーレーズが指揮する150人?もの若き俊英達による演奏の、パワー、緊張感、美しさは圧倒的で打ちのめされた。
(それ以来マーラーファンに・・。)

前半のベルクとウェーベルンが終わり、休憩で団員が楽屋にひきあげるとき、ビルギットはみんなの後ろからとてもゆっくりと歩いていくので、客席から名前を呼んだ。すぐに私たちを見つけ、とても喜んでくれた。
コンサート終了後に楽屋口でまたちょっと言葉を交わすことができた。

ビルギットはウィーン国立音楽大学でシュルツ、ハーゼに演奏と教育学を学び、さらにミュンヘン音楽・芸術大学でアドリアンに師事。この在学中にグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団に首席フルート奏者として2度参加したのだそうだ。(プログラムノートより)2004年 ウィーン音楽大学在学中に、ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団の首席フルート奏者として契約し活躍している。
ウィーン音楽大学のキャンパスをトリップさんが案内してくれたことがあったっけどちょうどその頃ビルギットは大学生だったのか。
今はビルギットはそこで教授になって・・時の流れのはやさと不思議さ。

さて、おなじみのオペラシティリサイタルホールで、間近で聴いたビルギットの演奏。
素晴らしい音色で、力強く、ダイナミック、聴衆を魅了する音楽・・!!
何もかも完璧で、虚脱した。
ビルギット・ラムスルはもう巨匠になってしまったんだな〜

15年前にパユのレッスンを受けていた可愛いビルギット。
そのときのパユとビルギットの演奏を一週間の間に聴けるとは、
まったく「奇跡の一週間」だったと言える。

ビルギットにはネットを駆使して感想を伝えることができ、彼女はとても喜んでくれた。(ちゃんとお返事をもらえた)
趣味で習っているフルートには一本の道があり、その道の先にはすごいフルーティストがたくさんいるような気がしていたけれど、
実は、私が歩いている道の先には、ああいう人たちはいないのだとわかった日だった。

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キジアーナ音楽院で。 パユとビルギット

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ムラマツ・フルート・フェア特別演奏会「ヴィルトゥオーゾの競演」 [音楽]

パユの所沢でのコンサートの翌日にオペラシティへ。
むちゃな日程だけれど仕方がない。以前から注目していたビルギット・ラムスルの演奏をどうしても聴きたかった。
チャンスは一度にやってくる。

出演の4人はみなそれぞれすごい経歴の持ち主。
4人のフルーティストの演奏を一つのステージで聴けるというのはめったにないことで、とても興味深かった。
曲目もバラエティに富み、贅沢な気分で楽しめた。
伴奏者もみなすごいメンバーで個性的だった!


2017年12月3日(日)13:30 〜 東京オペラシティリサイタルホール
「ヴィルトゥオーゾの競演}

プログラム

エレーヌ・ブレグ

・S.カーク=エラート/ シンフォニッシェ・カンツォーネ
・A.ジョリヴェ/ 5つの呪文より
・B. バルトーク/ ハンガリー農民組曲

大友太郎

・J.S.バッハ / ソナタ 変ホ長調 BWV1031
・J.S.バッハ / 組曲 ハ短調 BWV997

秋元万由子

・C.Ph.E.バッハ / ソナタト短調 Wq.86
・武満 徹 / 巡り ーイサム・ノグチの追憶にー
・Th.ベーム / シューベルトの主題によるファンタジー 作品21

ビルギット・ラムスル

・武満 徹 / エア
・C.ライネッケ / ソナタ「ウンディーネ」作品167


ピアノーーーー長尾洋史 / 浜野与志男 / 輿口理恵
チェンバローー森岡奈琉子


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エマニュエル・パユの2つのコンサート(2) [音楽]

2017年12月2日(土)15:00 〜
所沢市民文化センター ミューズ アークホール

<エマニュエル・パユ&エリック・ルサージュ リサイタル>

(プログラム)

J.S.バッハ:フルート・ソナタ ト短調 BWV 1020

シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D 821

ドビュッシー(レンスキー編曲9:ビリティス ー6つの古代碑銘ー

フォーレ:シシリエンヌ op.78/コンクール用小品/幻想曲 op.79

プーランク:フルート・ソナタ

こちらもフルートファンに大サービスのプログラム。
エリック・ルサージュの演奏、しばらくぶりに聴いたけど、相変わらず上手いな〜!とため息が出た。
3日間だけ空いてのコンサートだったので、ホールの響きの違いまではっきりわかる。
私はオペラシティのホールで聴いた音の方が良いと感じたし、友だちは所沢のホールの方がフルートの倍音がよく聞こえて良かった、という感想。

人の耳はそれぞれが違うので、同じ音楽を聴いても、感想はそれぞれ違うものだ。
演奏者にしかわからない違いもあるだろうし、聴いている側の体調や精神状態の違いもあったりするので、コンサートの感想を正確な言葉で伝えることは難しい。
もちろんホールの響きの違いもある。
微妙な感じ方を言葉にあらわすことは本当に難しい。

2回続けてコンサートに行って良かったと思う。
1回じゃ、良かったね、すごかったね、だけの感想しか持たなかっただろう。

これまでに聴いた演奏もいろいろ思い出した。
「プーランクのソナタ」など、私は、数え切れないほど聴いていて、
世界の大御所の演奏だけでも(もちろんCD ではなく生で)

ジェームズ・ゴールウェイをサントリーホールで、
ウェルナー・トリップをウィーンのベーゼンドルファーの小さなホールで、
マクサンス・ラリューを津田ホールで、
そして今回のエマニュエル・パユのプーランク。。

それぞれ印象深く記憶に残る名演だった。


帰り道、「パユは何を伝えたかったのだろう」と考えた。
作曲家は明確な意図を持って曲を作る。
では、演奏家は、その作曲家の意図を忠実に表現するだけなのだろうか。
作曲家の意図に加えて自分の表現したいものを表現するのではないか。
「何を表現したいのか」ということは音楽の大事な目的だ。
パユのように圧倒的なテクニックを披露されると、聴き手はその完成度に心を奪われ、何を伝えようとしているのか感じとるのがかえって難しくなるような気がする。
また、定番の曲というのはやはり、あまりにその曲を知りすぎているせいで、勉強しているような気分になってしまう。

音楽の目的というのはただ人を楽しませるだけではなく、もっと深淵なものがあると思う。
音楽が目指す方向というのはとても大きな問題なのだろうと思う。



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エマニュエル・パユの2つのコンサート(1) [音楽]

11月28日(火)、12月2日(土)と二回続けてパユのコンサートに行った。
以前はパユのコンサートによく行ったけれど、だんだんと、今さらパユでもないかという気がしてきて少し遠ざかっていた。
観客層で言うと、音大の女子学生がフルートバッグを肩から下げて行くコンサート、というイメージが強い。フルートのコンサートにフルートバッグを持っている人が多いのはなぜなのか、よくわからない。
学校帰りということもあるかもしれないけど、そのフルートバッグがむき出しなのが気になる。衝撃は楽器には良くないから、ぶつけたり落としたりという万が一の事態を避けるために、フルートバッグは楽譜などと一緒にさらに大きなバッグに入れて持ち歩くのが普通だろうと思うのだけれど。

今回は久しぶりということと、無伴奏と、ピアノとのデュオ、という2つのコンサートがあったため、一週間に2回パユのコンサートということになった。

いろんな演奏を聴いてきたので、今パユを聴いたらどんな風に聞こえるだろう、というのも結構楽しみだった。

11月28日(火) 
東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにて
<エマニュエル・パユ SOLO>

(プログラム)

武満 徹:声(ヴォイス)(1971)

マラン・マレ・スペインのフォリア

ピンチャー:3つの小品

ヴィトマン:小組曲(2016)

C.P.E.バッハ:無伴奏フルート・ソナタイ短調Wq.132

武満 徹:エア(1995)

武満徹が2曲入っていたので、興味津々でコンサートを聴いた。
エマニュエル・パユは誰もが認める世界のトップフルーティストで、そのテクニックにはいつも驚いていたが、今回聴いて、いまだに進化し続けていることに感嘆した。
休憩なしで全曲完璧な演奏だった。譜面台の上にはタブレット。

ヴォイスとエアは、小泉浩先生の演奏が頭に刻み込まれているので、ずいぶん違う雰囲気だと思った。
客席に武満徹夫人がいらっしゃったが、どんな感想を持たれただろう、と思った。
久しぶりに刺激を受けたコンサートだった。

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(コンサート覚え書き)11月〜アンサンブル・ノマドのコンサート [音楽]

アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》
メンバーによる協奏曲集  第3回目(第61回定期演奏会)
          〜 拡散するクラシック音楽〜


2017年11月23日(木)16:00  東京オペラシティリサイタルホール

<プログラム>

1.藤倉 大:コントラバス協奏曲(2010)
          コントラバス:佐藤洋嗣

2.中川統雄:機関幽世コンチェルト(2016)
ギター:佐藤紀雄
          バス・フルート:木の脇道元
          カホン:相川 瞳

3.グルダ:チェロと吹奏楽のための協奏曲(1980)
          チェロ:菊地知也


アンサンブル・ノマド20周年記念の3回目である。
1番の「コントラバス協奏曲」は、いつもは後方にいるコントラバスの佐藤さんが真ん中で見事な演奏を聴かせてくれた。コントラバスはオーケストラの重し役で、それはそれで聴き応えがあるけれど、藤倉大によるこの曲では、重さと軽さとメロディが自由自在、コントラバスの魅力と存在感をものすごく感じられた。

2番、「機関幽世(からくりかくりよ)コンチェルト」は、ギターとフルートとカホン。佐藤紀雄さんのギターを弾く手の動きって本当にすごい。ギター全面を覆って、まるでホールの空間全体をかき鳴らしているようだ。木の脇道元さんのバスフルートは、これなんの楽器?と思うような不思議な音、軽やかであり明晰。ギター、バスフルートに加わるカホンは、とても美しい音を響かせ、3つの楽器が絶妙で完璧なバランスで素晴らしかった。
題名が不思議。「からくりかくりよ」って音が奇妙でしょう。(タイトルも曲の一部のような・・?)


3番、グルダの景気の良い曲を、チェロの菊地知也さんがいつもどおりの穏やかできちんとした雰囲気で弾くものだから、逆に曲はリズム感溢れるダイナミックものなってすごかった。グルダが指揮をしている演奏よりかっこよくて、楽しく明るい気分に包まれた。

アンコール、チェロの名曲と言うから、サンサーンスかな、と思ったら、やはりそうで「白鳥」を木の脇道元さんがアレンジしたものだった。
オリジナルとは違っても、やはり白鳥は瀕死だった。
(最近、中耳炎になって、そのとき、右耳と左耳から聞こえる音の高さが違って聞こえた。左耳がドの音だとすると右耳ではレが聞こえるという感じでとても困ったのだけれど、道元さんの編曲はあのときの音の聞こえ方を思い出した。)

今回のアンサンブル・ノマドの演奏を一言であらわすと、「カッコイイ!」だ。
「カッコイイ」と思うものなど、今の社会を見渡してもそうそうあるものじゃない。
すごい作曲家とすごい演奏家が生み出す音楽だからこそ・・。

次はいよいよ20周年記念コンサートの締めくくり、12月22日(金曜日)です。
体調万全に整えて聴きに行く!

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(コンサート覚え書き)2017年10月〜 アンサンブルノマドのコンサート [音楽]

アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》
メンバーによる協奏曲集  第2回目(第60回定期演奏会)
          〜 音響の沸騰 〜


2017年10月20日(金)19:00 東京オペラシティリサイタルホール

<プログラム>

1.三善 晃:マリンバと弦楽合奏のための協奏曲(1969)
        マリンバ:加藤訓子

2.A.ウルクズノフ:フルート、ギターとアンサンブルのための
           ブロークン・コンチェルト(2016〜17)
   フルート:ミエ・ウルクズノフ、  ギター;アナタス・ウルクズノフ

3.W.A.モーツァルト;ピアノ協奏曲第9番変ホ長調(1777)
        ピアノ/指揮:稲垣 聡

4.H.バスケス:エエカトル(2014)
        フルート:木の脇道元


マリンバの演奏は、音と身体の動きが一体となった表現だと思った。ダイナミックで、しかも音はまるみがありやさしい響きで楽しめた。
2番のギターとフルートの協奏曲はアンサンブル・ノマドの20周年記念に寄せて書かれたという。プログラムノート(後で読んだのですが)によると、「ブロークン・コンチェルト」という題名が現すように、「既成のコンチェルトの形式が壊された」あるいは「楽器の既成概念が壊された」という意味を持つ。
前日に聴いた音楽(フルートとピアノのデュオ)とはまったく別のもの、という感じで、同じ楽器ではないように思えた。
3番の稲垣聡さんによるモーツアルトのピアノ協奏曲。アンサンブル・ノマドのコンサートでモーツァルトを聴くことはないので、新鮮で嬉しかった。新しい音楽の中で聴く古い音楽ーそれは古典音楽の閉塞感をとばしてくれる。
4番のバスケスのエエカトル。ひたすら美しい音を追求するというのがフルートという楽器の特性だと思うけれど、木の脇道元さんのフルートは表現の幅がものすごく広いので、フルートを聴いているということを忘れてしまう。

(* 前日に仙台でフルートデュオリサイタルを聴いて翌日に新幹線で東京に戻ってオペラシティへ、という日程になってしまいました。
2夜連続のコンサートは、違いが際だって面白かったけれど、健康で身体が丈夫な人でなければちょっと無理かと・・。すご〜く疲れました。。。)

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(コンサート覚え書き)2017年10月〜「小泉浩&柴田千賀子 デュオリサイタル [音楽]

《 小泉浩&柴田千賀子 デュオリサイタル 》
         巡り〜武満徹の世界

2017年10月19日  仙台市宮城野区文化センターパトナホールにて

プログラム

<1部>
ドリゴ/セレナーデ
ショパン/夜想曲 嬰ハ短調 遺作
バッハ=グノー/アヴェ・マリア
ドビュッシー/月の光
ケーラー/子守歌
ドビュッシー/喜びの島
ドニゼッティ/ソナタ

<2部 武満徹作品>
雨の樹素描Ⅱ
ヴォイス(声)
リタニ
巡り〜イサム・ノグチの追憶に
ピアノ・ディスタンス
エア(遺作)

これだけのプログラムをまとめて聴く機会はめったにないことなので、わざわざ仙台まで出向いたけれど、それだけの価値はあった。
響きの良いホールで、ピアノの柴田千賀子さんの演奏を聞くのは初めてだったが、小泉先生から大変良いピアニストと聞かされていた通り、とても良い演奏だった。
後から聞いたのだけれど、ピアノはどこにでもあるようなピアノで、調律して何とかあそこまでもっていったとのこと。
ごく普通のピアノでも弾く人によってあんなに繊細できれいな音が出るのだ。

小泉浩先生の演奏はもう数え切れないほど聴いているが、やはり「エア」「巡り」は素晴らしかった。「エア」は武満徹の遺作で、病と闘いながら(もっと歌いたい、もっと歌いたい・・)という武満の思いが作品に込められている。
武満が亡くなったとき、お別れの会で小泉先生がこのエアを演奏したそうだ。
「巡り」は鳥肌が立つような演奏だった。ピアニストの柴田千賀子さんが、舞台上で曲の紹介をして、初めて小泉浩の「巡り」を聴いたときはあまりに素晴らしい演奏で自然に涙が出てきた、と仰っていた。

(*仙台は初めて行ったのだけれど、お寿司とビーフシチューが美味しくて、これは遠くまでやってきたご褒美でした。。。)





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アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》2017.9.23 [音楽]

アンサンブル・ノマド結成20周年記念コンサート《饗宴》
メンバーによる協奏曲集   第一回目(第59回定期演奏会)
            〜 20世紀の華 〜


2017年9月23日(土)16:00  東京オペラシティリサイタルホール

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アンサンブル・ノマドのコンサートを初めて聴きに行ったのは一体いつのことか、はっきり覚えていないほど前のことで(1999年頃?)、多分結成して間もない頃だと思う。
以来毎年、機会があれば聴いてきた。
いつ聴いても活力が溢れる瑞々しい演奏にびっくりさせられ、ノマドの演奏を聴いた後は、いわゆるクラシック音楽というものが、なまぬるい音楽に思えてしまうのだった。

今年は、アンサンブル・ノマドの20周年記念コンサートを「最優先する」と決め、
9月23日、その記念コンサートの第一回目、気合いを入れて聴きに行ってきた。

<プログラム>

P.ヴァスクス:遠い光(1990~97)
        ヴァイオリン:野口千代光

M.フェルドマン: ヴィオラ・イン・マイ・ライフ Ⅲ・Ⅰ・Ⅱ(1970)
        ヴィオラ:花田和加子

I.クセナキス:エオンタ(1963)
        ピアノ:中川賢一

武満 徹:波:ウェイヴス(1976)
        クラリネット:菊池秀夫

1曲目のヴァスクス《遠い光》は本当に美しい曲だった。ヴァイオリンの野口千代光さんの演奏を、こんな風にしみじみ聴いたことがなかったのでとても感動した。風のような、木枯らしのようななんとも言えない音・・ヴァスクスってすごい作曲家だと思った。バックの弦楽器の豊かな深みのある演奏は、クラシック音楽の精緻という気がした。

2曲目のフェルドマン。とても少ない音で独特の世界を創っていた。
林のような静けさ。実際は、静まりかえった林というのは完全な無音で、その中にいると少し居心地が悪い。風でもちょっと吹かないかと思ってしまう。そういう静けさをこわすことなく花田和加子さんのヴィオラと他の楽器が控えめに音を奏でる。
(花田さんは今夜もいつものように受付でチケットを扱っていた。日常からフェルドマンの世界にす〜っと入っていける人なのだ。すごいことだ。)

3曲目は、クセナキスの《エオンタ》。ガラスのような繊細さとものすごい強さを持ったピアノの音を聴いて、ああ中川さんの音だな〜と思った。中川賢一さんのピアノと、トランペット、トロンボーンの掛け合いは、構成がとても面白く演奏も素晴らしかった。これはジャズより面白くて格好良いなあと、浮き浮きしながら楽しめた。

4曲目、武満徹の《ウェイヴ》。どこを聴いても武満徹だとわかる。
武満徹の曲は、緊迫感のある曲でも茫洋とした曲でも、均衡がバチッと取れているのが特徴かと、改めて思った。聴きなじんでいるせいか私にとってはアットホームな感じでゆったり聴けた。菊池秀夫さんのクラリネットの音はたっぷりしていて、いつもながら、聴いているとなにか治療を受けているような(つまり癒されている・?)気がする。

というわけで、
アンサンブル・ノマド結成20周年コンサートの第一回目、本当に良かった。
こういう音楽を田舎の人たちにも聴かせてやりたい、粗野な中高生や、日々過酷な労働をしている人たちにも聴かせてやりたいなあ、と思った。

アンサンブル・ノマドの音楽は「音楽」という一つの世界の壁を壊して、外の世界に目を見開かせるようなところがある。
この特質は、とても意味深いと思っている。


20周年コンサート第二回目は、

2017年10月20日(金曜日)19:00〜 東京オペラシティにて

(聴かないと絶対に損です。)


*今回のプログラムノートはそれぞれの演奏家が曲についての思いを書かれていて豪華版です。
また結成以来の公演記録が立派な冊子になっていてとても嬉しいです。ゆっくり記憶を辿ってみたいと思っています。


*アンサンブル・ノマドの20周年記念のTシャツを買いました。
ヴァイオリンの甲斐史子さんのデザインで、素敵です。白と黒の2色、どちらにしようか考えたけど、次は5年後か10年後になってしまうのかと思い、2枚買いました。すごく気にいっています。

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