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アムステルダムの話(5)オランダの若者たち [旅行記]

ドラムを選んでいる若者
アムステルダムで楽器店に入ったら一人の若者がずっとドラムをたたいている。
あまり熱心なのでドラムを修理している人かと思ったら、これから買うために、
音を確かめているのだと言った。3つのドラムのうちどれを買うべきか、決め
かねているようだった。
しばらく私も音を聞いていた。高音はこっちの方がよく、バランスはこれが良
く、値段も考えるとこれがベターで、となかなかむずかしい。なんのてらいも
なく、自然に私に「どう思うか」と聞き、ひたすらドラムに集中している。
話をしている相手が、若いとか中年だとか、男か女か、オランダ人か外国人か、
という意識がまったくない風な態度になんだか感動してしまう。
私達日本人はしょっちゅう枠でくくったり、線引きしたりしている。
日本人以外はみんな外人で、いくつになっても同学年だとか、何ヶ月若いとか、
すぐ話題にする。
アムステルダムではそれを感じなかった。考えてみればすごいことだと思う。
司馬遼太郎が「オランダ紀行」の中で、オランダ人は世界で一番偏見や差別のな
い国と書いている。また、オランダ人にとっては働くということは空気を吸うよ
うなものとも、言っている。
レストランやお店で働いている人たちも美術館のチケット売り場の人も、明るく
て楽しそう。日本のユニクロみたいな店H&Mは、日本よりもさらに安く賑わっ
ていた。東京より安い、と言ったら「そうでしょ。」と嬉しそう。東京は一度は
行ってみたい所、と言っていた。

道路の少し広い場所で人だかりがあった。行ってみると、大きなチェスを使って
勝負をしていて、みんながそれを見ている。対戦しているのは、大の大人と、小
さな少年だった。この少年の気難しい真剣な顔にまた感心してしまった。
みな静かにチェスの観戦をしている。小さな子供はたった一人で試合をしてい
る。みんな自立しているのだ、と感じてしまう。

この街で住むのもいいな、と思ったアムステルダムだった。(つぎ最終回)

路上でチェスをする少年


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コメント 4

おおくにあきこ

タマラさん、ごぶさたしておりました。(座るのが少々つらい病にかかっています。。。)久しぶりにタマラさんのすてきな文章で、フィンランドとオランダの旅行記、堪能させていただきました。いいですねぇ。
by おおくにあきこ (2007-06-10 22:49) 

herosia

オランダの音楽家って思いつかない。ジャズではキャンディ、ハンス・ダルファー親子。あとショッキングブルーか古いけど。コンセルトヘボウにしても外人部隊という感じだからなぁ。作曲家も演奏家も私の知識では皆無。科学者、医者はライデン、シーボルトとかすぐ出てくるくらい多い。ここいらへんにオランダの秘密があるかもしれない。よそから来て音楽を演奏してくれたり、さまよえるオランダ人とか曲にしてくれたり。魅力的な国なんだろうなあ。暮らしやすい国では芸術は生まれないのか。『草枕』だよ。住みにくいところを何とかしようとして詩が出来、絵が生まれる。でも画家は多いか。謎は深まる。
by herosia (2007-06-11 01:19) 

ゆき

おおくにさん、こんにちは。座るのがつらいって大変ですよね。ライターとしては特につらいのではないでしょうか。
私も最近パソコンの姿勢が疲れてだめです。立ってやれないか、と考える時があります。
いろいろなストレス(社会から受ける)も原因ですね。
by ゆき (2007-06-11 20:26) 

ゆき

オランダの音楽家についてですが。
そう言えば、作曲家とか、指揮者とか、有名な演奏家とか、オランダではあまり聞きませんね。コンセルトヘボーというすごいオーケストラはあるし、音楽が手厚く保護されていると思うのだけれど・・・。画家はすごい人がいます。不思議です。
by ゆき (2007-06-11 20:34) 

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