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ロンドン紀行/変わりゆく街 [旅行記]

ロンドンお馴染みの風景
ナショナル・ギャラリー前

ロンドンの印象は10数年前とはずいぶん変わってしまった。初めて訪れたヨーロッパの国がイギリスだったから、その時は見るもの聞くもの珍しく、ロンドンの、宮殿やら教会やらの歴史ある建物や高級ブランド店などが立ち並ぶ街並みに、ただただ驚いた。世界中から集めた貴重品の宝庫「大英博物館」の巨大さに目がくらんだし、オックスフォード、ケンブリッジなどの美しい大学の街、通りに豪華に飾られている花、広々とした芝生の庭などなど・・すべてにため息が出た。はじめて西洋を目の当たりにした日本人の心持ちってみなこうでしょう。

3回目に訪れたロンドンは観光客にあふれるただの騒々しい大都会にすぎなかった。今回はPromsのコンサートが目的だったので、特に何かを見物する予定はなかったけど、せっかく来たのだから観光ぐらいしようと思ったら、見たい場所が無いことに気がついた。世界で一番美しいとか世界で一番古いとかいう城や教会、ステンドグラスや橋、建物など、いろいろな国を観光して回った今、特に見たい場所はなく、ロンドンはただの騒々しい大都会にすぎなかった。

絵画ぐらい見ようとナショナル・ギャラリーだけには行ったけど、ラファエロの時代の部屋の中で、こんなに一度にたくさん見ても何になるだろうと、一番好きな印象派の部屋だけを回ることに。スーラ、シスレー、モネを見て心和みそれで十分だった。国立の美術館や博物館というのは英国では無料だから、その時見たいものだけ見る贅沢さはあるわけです。

それにしてもイギリスも訪れる度に変わっていくようだ。15年前とは明らかに違う。15年前は、地下鉄などの駅に案内係がたくさんいて、道を尋ねればいかめしい制服にいかつい顔の案内係の人が、満面に笑みを浮かべて丁寧に教えてくれた。今は案内係はいない。
歩道を渡るときは、人が立っていれば、どの車も必ず止まってくれた。歩行者優先が徹底していることに、さすが紳士淑女の国だ、と感心したものです。

何よりも淋しいのは街中から音楽が消えたこと。初めての旅行で不安な私の心をリラックスさせてくれたのは、ビクトリア駅地下で演奏されていたビートルズの曲「オブラディオブラダ」だった。3,4人の若者の演奏だったけどおそろしくうまかった。イギリスを訪れた人を歓迎するのにこの音楽に勝るものはないでしょう。人々はみな長い長いエスカレーターに乗っている間に、財布からコインを取り出し、下まで降りたときにサッとミュージシャンの前に置かれたギターの箱に投げ入れていく。私もまねをした。お金を払いたいと思うほど上手なミュージシャンをそれから、あちこちで見かけ、地下鉄に乗る時の大きな楽しみになった。彼らはみな演奏の資格をもらっている人達と聞いた。
その音楽家達も姿を消した。今たまに見かけるのは違法を承知で細々やっている人達だけ。

7,8年前に法律が変わったためだ。タバコと同じで、公共の場ではきらいな人の権利を守るために音楽も禁止されたのだ。無機的な地下道に音楽が色取りを添えていたのに、と残念な思いだ。私が感動したものはすべて消えてしまったような感じがします・・。

ポスターだけは変わらない


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コメント 4

solea01

そんなに変わりましたか。93年の暮れにマルクスの墓参りに行ったことがあるけど。うーん、日本でもポイ捨て禁止条例とか、つきまとい禁止条例とか、一歩間違えると言論弾圧につながりそうな条例が増えている。イギリスも同じでしょうかねえ。

93年暮れのロンドンの印象は、スイスみたいにこぎれいじゃないが、切り裂きジャックやシャーロックホームズが出てくるにはぴったりの闇のある町の印象でしたけどね。私は好きですね、ああいう町は。霧には残念ながら会えず。食い物はまずかったぞ。食事はドイツやスイスの方がいい。
by solea01 (2007-09-04 20:46) 

ゆき

変わりましたよ〜、本当に。
私もロンドンのどこか暗い闇のある雰囲気は好きでしたが。
食事は私もおいしいものにはめぐりあってません。
フィッシュ&チップスは料理とは言えませんし・・。あんなものでも1600 円ですよ。
PREZZOというイタリア料理店のラザニアやサラダはおいしかったです。ウエイトレスさんが皆とても控えめで感じ良く、聞いたらスロバキアの方でした。
何と言っても音楽が消えてしまったのはガックリです。
by ゆき (2007-09-04 21:01) 

jmh

お帰りなさい!
 一昨年ロンドンの南西50キロほどの田舎町に住む友人の結婚式があり、ロンドンに数日滞在しました。
 このときの印象は・・・ウーム・・・物価は高いわ、レンタカーはレッカー移動の目にあうわ、おまけに帰ってきてから8ヶ月も経って「通行禁止区域走行」で反則金を請求されるわ(監視カメラで撮られていた!)・・・でけっこうさんざんでした。
 でも、サマーセット・モーム(?)が言っているように、「イギリスでおいしい食事をしようと思ったら、朝食を3回食べればいい」というのは本当だと実感しました。
 同行の妻は、EnglishBreakfastの焼きマッシュルームにはまっていました。
 アイルランドはあこがれです。豊かで、しかしちょっと暗めの自然に育まれたウィスキーを、現地の景色で飲ってみたいものです。
 続編期待!
by jmh (2007-09-06 09:44) 

ゆき

jmhさん、こんにちは。レッカー移動に通行禁止区域走行で反則金ですか。 さぞや、ロンドンの印象は・・と察します。
旅の印象はちょっとしたことで左右されますからね。失敗談やハプニングなど、聞く方は面白いのですが、当人にとってはストレスですね。私もたくさん、あります・・。

確かにイングリッシュ・ブレックファストはずっしりとおいしいですね。でも、あれは、早朝に狩でもやって、あるいは一働きした後で食べたのでは?と思うのですが。
アイルランドのクリーミーなウィスキーも買ってきましたよ!私は飲めないので舐めるだけですが。
by ゆき (2007-09-06 15:35) 

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