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音楽の未来〜ベネズエラ(2) [音楽]

マーラー「復活」

サイモン・ラトルやクラウディオ・アバドに指揮をしてもらえるというのはオーケストラにとって光栄なことでしょう。
でもベネズエラのユース・オーケストラに関しては、その逆のことも起きたようでした。明らかに偉大なる天からの贈り物を受け取ったのは、ラトルやアバドの方だったように思われました。ラトルもアバドも感激、興奮をどう現していいかわからない、という風だったし(アバドは涙ぐんでいました!)、一方子供たちの方は全く緊張する風もなく、自然に身体いっぱいに演奏する喜びだけを現していたのです。


コンサートマスターは8才        真剣な眼差し


サイモン・ラトル
「クラシック音楽の未来にとって最も重要な活動が、今どこで行われているかと尋ねられたら、私はここベネズエラ、と答えるでしょう。まさに『復活』です。マーラーが見たら何と言うか。いやマーラーは見ているかもしれません。」

「音楽は人生を豊かにしてくれるばかりでなく、人生を救ってくれるのです。音楽は自己完結するものではなく、常に何かのために存在すべきものなのです。」


クラウディオ・アバド
「信じられない思いとともに、強く心を動かされた。なぜほかの誰もこういうことを(子供たちに音楽の喜びをおしえること)思いつかなかったのだろう。」


エデイクリン・ルイス
彼はこのベネズエラの音楽への取り組みの中から生まれたチェリスト。現在、ベルリンフィルの最年少メンバー。
彼のことを町の人は「ああ、エディクリンはわたしらの誇りだ。本当にカンデラリラの自慢の若者だよ。」と誰もがうれしさを隠しきれないように口々に語るのです。

楽器を持っているときの子供たちの表情の何と幸せさに満ちていることか。「神様って音楽みたいなものだと思う。だって音楽って本当に美しいのだから。」ある少年の言葉です。
この試みは日本ではできるのでしょうか。TVやケータイやゲームに囲まれていては、ヴァイオリンを持たせたところで、ベネズエラの子供のように、食べるのも忘れて片時も楽器を離さず、ということにはならないにちがいないでしょう。

ラトルが「ある国を援助する、というと経済援助や医療の援助のことを考えるが、こういう形での援助こそ真にすばらしいものと言えるのではないだろうか。」と語っていたことが心に残りました。


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コメント 4

solea01

中南米というと、タンゴ・サルサ・ボサノバ・サンバなど民族音楽をベースに西欧のポピュラー音楽が融合して発達していった情熱的な音楽のほうがまず思い起こされるが、なるほどクラシックはどこにでもありますね。

経済が発達しすぎると、「はかなさ」「深み」と無縁の刹那的な快楽に人は走りがちだな。ゲームも結構だが、奥の深さはない。ゲームの「感動」はひどくそこが浅い。子供達にはこういう音楽の世界にも入ってほしいですね。

普段はロック・フォーク・フラメンコを聞くことが多いが、たまにはラフマニノフの2番かグリークのピアノ協奏曲でも聞いてみるか(ルービンシュタインのアルバムを持っているけどクラシックは手持ち数が少ないですね)・・・。
by solea01 (2007-10-08 11:32) 

ゆき

ラテン音楽というのは非常に情熱的で、国民みんなが楽しむ風景が一般的ですが、そこに西洋のクラシック音楽が入ってくると、かなりの意外性を感じます。
自分たちの民族音楽と同じように、熱狂的にクラシック音楽を受け入れてしまうのがすごいです。
マーラーを子供たちが演奏できるとは想像すらできなかったので、この番組はただただ驚嘆でした。

クラシックを聞くようになると、時間がいくらあっても足りなくなるので用心を・・・。
by ゆき (2007-10-08 20:21) 

ふくふきママ

ベネズエラでこんなことが起こっていたとは、知りませんでした!
クラシック音楽は、本当に、世代も国境も越えるのですね。。。そして、皆に幸せをくれるものなのですね。
子供たちと楽器!なんとも、言葉にできない、感動です。
by ふくふきママ (2007-10-09 19:27) 

ゆき

私もベネズエラのユース・オーケストラのことは何も知らなかったので、この番組には本当に驚きました。ものすごい人数でのマーラーは画面でもすごい迫力でした。
それから、歩きながらバッハを楽しそうに奏でる子供たちには言葉もなかったです。
どうしてあんなに上手なのかなあ・・と。寝食忘れて練習しているからでしょうか。
by ゆき (2007-10-09 20:27) 

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