マリア・ジョアン・ピリス [音楽]
忘れないうちに、マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタルについて
(11月4日 すみだトリフォニーホール)
やはりピリスは女神さまでした。マルタ・アルゲリッチと内田光子と共に、この三人がさしずめ現在のピアノ3美神ということに納得です。
三人三様なのですが、完璧な世界を創り出すカリスマ性を持つという共通点があります。
一部はヒナステラ、スカルラッティ、シューベルトだったのだけど、ピリスは一つながりの音楽として演奏するので、曲間の拍手は控えてください、という注意があった。確かにピリスの世界がいったん始まってしまえば、観客の拍手はじゃまになってしまうなあ、という感じがしました。
コンサートでは、楽章ごとに観客は咳ばらいをするけど、私にはかなり気になってしまう。なぜ、ここで咳をしなければならないのかと思う。演奏中は咳を我慢しているため、楽章間で咳をするのだろうけど、こんなにおおぜいの人が我慢していたのかなあ、といつも不思議になる。
今回もそろそろ風邪がはやってきたのか、曲間の咳が多かった。でも演奏中は観客の集中はすごく、静まりかえっていた。
曲間の拍手は断ったけど、ピリス自身は、観客には無関心な様子で席を立って、後ろのテーブルに用意された水差しから水を飲んだ。
あくまでも自分のペースを崩さない・・やはり並外れています。
驚くほど正確で情緒があふれ、瞬時に観客の心を引き寄せてしまうピリス。彼女の終止音はとても特徴的で、終止の次の無音(静寂)が深い色合いを持っているように感じる。(最後のベートーヴェンが終わった時の拍手は早すぎたなあ・・)
アルゲリッチがいつもペコリとぎこちなく頭を下げて挨拶をするけど、ピリスは手を組み、深々と頭を下げていた。でも二人とも同じように気難しそう・・。
ピリスのスーパーレッスンをテレビで見たけど、小柄で淑やかな美女のピリスは、それはそれは厳しい先生でした。ずばりダメな所を言うから怖い。1フレーズ弾いただけで「違います。」と言われてしまうのだから・・。
休憩時間、CDを買おうと思ったのだけど、人が殺到して、私などはじき飛ばされてしまった。あの殺気は何だろう・・。並べられている全部のCDを買っている人もいました。(わたしはアマゾンで買おうっと。)
ピリスのヒナステラは夢の中を漂う感じでとても素敵でした。帰ってアルゲリッチのヒナステラを聴いたら、それはもう完全に別の曲で・・アルゲリッチはガンガンまるでジャズのように弾いていました。(ヒナステラはアルゼンチンの作曲家でピアソラはその弟子です。)
(Program)
ヒナステラ 3つのアルゼンチンの踊り
D.スカルラッティ ピアノ・ソナタ イ長調 K.208
シューベルト ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 作品120
シューベルト 4つの即興曲 作品142より 第2番 変イ長調
シューベルト アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821
*これは急に入った曲 チェロはパジェル・ゴムツイアコフ
ベートーヴェン 第13番 変イ長調 作品110
(アンコール)
J.S.バッハ トッカータとフーガより アダージョ BWV564
アルペジオーネはラッキーでした。繊細な響きのチェロでした。
ピリス,いいですね。なまの演奏で聴けるなんて。
ピリスと内田光子と,両方の演奏家はずいぶん感じが
違いますが,とっても好きです。疲れたときはピリスのほうが
聞きたくなりますが。わたしはあまり詳しくはないのですが,
いろいろな聴き方ができる,そして聴いてくるタマラさんはすごいですね。
by fo-rey (2007-11-08 20:06)
ピリスのコンサートは私も初めてでした。5年ぶりの来日コンサートだったそうで、聴きに行って良かったです。ピリスの音ははとても繊細な感じですね。
ピリスはモーツアルト弾きと言われていますが、どんな曲も素晴らしいと思います。
by ゆき (2007-11-08 21:18)
ピレシュ(ピリス)とアルゲリッチが初めて!一緒に演奏したそうで、
載っているエピソードが面白いです。
pdf ファイル
http://nifc.pl/_files/konkurs/chopin_express/chopin_express_nr_09.pdf
by nonasu (2010-10-20 12:56)
nonasuさん、記事の紹介ありがとうございます。
ピレシュとアルゲリッチが一緒に演奏するなんて本当に歴史的な話ですね!どんなだったのでしょう!!
ピアニストの指のタッチで音色が全く変わってしまうということにいつも驚かされますが、そんなにたくさんの音色があるのかぁ・・。放送されないものですかね。
by sachat06 (2010-10-20 23:03)