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エリアフ・インバル、マーラーを語る(1) [音楽]

マーラー6番より
あのエリアフ・インバルの、コンサートではなくお話を聞いてきました。
私にとってマーラーと言えば、エリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送管弦楽団によるマーラー6番が最初です。(ちなみに5番はズビン・メータ指揮のニューヨークフィル)
毎日のように聞いていた時期があったので、ひな鳥と同じでインバルのマーラーがインプットされました。これが基準です。ほかの指揮者、ほかの楽団でマーラーを聴くとき、知らず知らず比べています。テンポやリズム、トランペットやホルンの歌い方、ここのオーボエの音、ここのフルートの音色・・という具合にどうしても比べています。マーラーは弦の響き、木管、金管、打楽器、ありとあらゆる楽器の見せ場があるから、聞けば聞くほど面白味が増してくるのです。

エリアフ・インバルはイスラエル生まれ、38才でフランクフルト放送交響楽団の音楽監督となり、グスタフ・マーラーの交響曲の全集を録音しました。私が日々聞いているのはその全集。録音は1986年なのでもう21年前ということになるのだけど、全く古くさくならないのが不思議です。そのCDジャケットの写真が好きなのですが、今日のインバル氏は、年は取っても写真と全く同じ雰囲気で、無造作に黒と灰色の縞のマフラーを付け素敵でした。
インバル氏の英語は、あちこちの国のオーケストラを指揮しているためか、非常にゆっくり明晰、噛んで含めるような話しぶり。さすが指揮者ならではです。ステレオで曲の一部を流しながらの解説、解釈を聞いていると、オーケストラ団員はこんな風に言われてるのだな、と良くわかります。マーラー交響曲第1番1楽章、「これは自然への愛、自然に対する驚きです。ほらここで鳥の声・・。ホルンの素晴らしいメロディ。素晴らしい自然でしょう・・さまよえる人の歌がここに出てきます・・。」という具合で、インバルと共にマーラーを聴けるとはこれまた非常に貴重な体験でした。

「マーラーは偉大な作曲家であり、天が使わした聖なる人、神、と言われます。マーラーは音楽の中にすべての世界、宇宙を描き出そうとしました。ヒロシマもアウシュビッツもすべてここにあります・・予言者だったのです。」というインバル氏の言葉はとてもわかりやすく思われました。100年前の曲の中にその後の世界(二度に及ぶ大戦の悲劇も)がすでに書かれていると私も感じます。
「芸術は常に人生に先んじて行くのです。」
大抵の並外れた芸術、科学も哲学も、世間に理解されるには100年かかったりしています。今マーラーを自分の人生に引き寄せて感じられるのも当然のことと言えるでしょう。(朝日カルチュアセンターにて)

来年のスケジュール帳にサインしてもらいました。


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コメント 2

ふくふきママ

こんにちは。インバル氏、名前はもちろんよく知っていますし何枚もCDも持っていたはずですが、恥ずかしいことに、その演奏の特徴は。。。といわれると、まだまだよく分かっていなかったわたくしでした。
しかし写真のお顔を拝見するだけで、神々しい感じがします。

偉大な芸術家の言葉に、すぐ近くで接することのできたタマラさん、本当に羨ましいです・・・!

マーラーは、聴くのに体力のいる音楽だと思い、確かに、一生かけて取り組むだけの価値があるのだろうと、わたくしも想像します。そういえば、ブルックナーについて、そういうことをおっしゃるひともいますよね。

音楽って、すごい!相変わらず、その奥の深さに慄くわたくしでした。
by ふくふきママ (2007-12-20 18:53) 

ゆき

インバル氏は、本当に神々しいような雰囲気を持っていらっしゃいました!
ステレオを使っての説明では、音楽が流れるとすっと曲の中に入っていかれて、その集中力というか何というか、音楽との向き合い方が凡人とはやはり違うのだ、と感じました。
コンサートとはまた別の、ラッキーな体験でした。
by ゆき (2007-12-20 22:54) 

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