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サイモン・ラトル&ベルリンフィル/東京公演2008 [音楽]

IMGP6133.jpgカラヤン広場
ベルリンフィルは、やはり、やはり、スーパーオーケストラでした!
これまで来日公演でチケッットを買えたためしがなく、ベルリンに行かないとだめなのかなと思っていたけど、終にベルリンフィルの演奏を生で聴くことができました。

(11月28日サントリーホールにて)
    ハイドン:交響曲 第92番 ト長調    
    マーラー;リュッケルトの詩による5つの歌    
    ベートーヴェン;交響曲第6番 ヘ長調 《田園》

マーラーファンとしては重厚な弦の響きを持ち完璧な管楽器奏者のいるベルリンフィルで、本当はマーラー交響曲を聴きたかったのですが、今回のプログラムで、はからずもベルリンフィルの魅力、スーパーぶりをどっぷりと味わうことになりました。
座席が2階のステージの右奥で、オーケストラ全体を見渡せ、しかも指揮者に向かい合っていました。この日は何としても遅刻はするまいと一時間前にはサントリーホール前のカラヤン広場に。

早々と座席につき(すでにコントラバスが二人ほど音出しをしている)ステージに現れる楽団員を固唾をのんで待ちました。まずコントラバスのメンバーが席につき、それから、あのアルブレヒトマイヤーが2本オーボエを持ち、口にリードをくわえて、スッと入ってきました。すぐ後ろに続くのはフルート奏者のブラウ。それからホルンのシュテファンドール・・!
DVDでお馴染みの顔が次々と現れ、こんなに近くにいるなんて信じられない。
コンサートマスターはガイ・ブラウンシュタイン。
そしてサイモン・ラトルが登場。開演前にかなりの興奮状態におちいってしまいました。

一曲目のハイドンのさわり、ほんの1,2章節のなんとも妙なる弦の響きを聴いただけで、「これはまいった」という感じ。なぜこんなにきれいな音なのか。
ハイドンのは知らない曲だったけど、「ハイドンてすごい作曲家なんだ」と思いました。中学校の音楽の教科書に「交響曲の父」と出てくるのも当然。これまでハイドンを聴こうとも思わなかったのは不教養でした・・。

二曲目はマーラーの歌曲。歌姫はマグダレナ・コジェナー。美しいメゾソプラノに美しい容姿。私の座席からは歌姫の斜め横顔と背中を見ることになり、当然歌声は前に向かうのでやや小さめに聞こえたと思います。が、それがまたオーケストラの響きと調和していました。最後の歌はマーラー5番のアダージェットを彷彿させ、ここでマーラーの世界を味わえて幸運でした。

ベートーヴェンの田園・・今までこんなに素晴らしい「田園」は聴いたことがないという感慨につきます。もう一生分の「田園」を聴いた気分・・。「田園」はあまりにも良く知られた曲なので、すみずみまで神経を集中させてしまうのですが、最初から最後まで、<演奏の見事さへの驚き>の連続でした。「田園」はCDでもメロディの美しさは十分味わえる曲ですが、決してあのような喜びに満ちた雰囲気は出ない。ベルリンフィルの弦はものすごく洗練された繊細な音と非常に重厚な響きをもっていて、その上、すべての管がものすごいので、これ以上完璧なものはあり得ないだろうと思わせます。

ブラウとアルブレヒトマイヤーのすごさ。楽しい鳥のかけ合い。シュテファンドールのホルンの音色のすごさ。クラリネットもファゴットもイングリッシュホルンもあまりにも完璧な美しい音色なもので、「あれ、これは何の楽器」と思うこともしばしば。全楽団員を見渡せる場所にいたので一人一人のソロを穴があくほど見ることができました。2楽章の終わりにブラウが隣のアルブレヒトマイヤーににこっと笑いかけているのも見えました。
ブラウの音はビブラートがどうこう、を完全に超越しています。あのビロードのような柔らかく響く音はブラウの口ひげも関係しているのかな・・。(パユだったらどうだったのだろう。)

最後にサイモンラトルについて。この偉大な指揮者については言うべき言葉は見つからず、ただ見ているだけで幸せな気分になるのでした。家に帰ってカラヤンのベルリンフィル「田園」を聴いてみたけど、ラトルの生の演奏とは似ても似つかないものでした。音楽を立体的に聴いてしまった後、CD はあくまでもCD、どうしても平板な音に聞こえてしまうのでした。
チケットの高さも納得です。(一生に一度だと思えば。。)
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コメント 4

ayu15

CDて、電話やメールみたいな・・。でも生演奏は会って話してるような。

うちはウィーンに行き国立歌劇場でウィーンフィルで聞いて、ベートーベンの小道を散策したいです。
ベートーベンハウスも立ち寄りたいわ~。

by ayu15 (2008-12-01 09:29) 

sachat06

実を言うと矛盾した言い方ですが、ベルリンフィルはあまりに協奏が正確でまるでCDみたい、なんですよ。それを立体的に聴いてしまったので呆然としたのでした。
私、ベートーヴェンの小道を歩いたんですよ。そのときは異常気象でものすごく暑く、とても田園気分を味わうどころではありませんでした。良い季節にまたぜひ行きたいと思っています。
by sachat06 (2008-12-01 20:27) 

ayu15

ミスがとても少ない世界一の完璧なオケという噂もありますよね。

暑い時も寒い時もみんな田園かも??
ぜひ違う季節にも行きたい所ですねえ。
by ayu15 (2008-12-04 13:05) 

sachat06

そう、ミスなんてほど遠いオーケストラ。
最近の録音技術はどんなことでもやれてしまうようだけど、生で「完璧」なものをやってしまう。そしてホール全体が歓喜に包まれる・・すごいものです!
by sachat06 (2008-12-05 00:06) 

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