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ベン・シャーンが描いた「第五福竜丸」 [芸術]


ベン・シャーンは20世紀のアメリカを代表する画家。
絵本『ここが家だ』はベン・シャーンの絵にアーサー・ビナードが文を
書き構成している。第五福竜丸事件を2人のアメリカ人が絵本にしてい
る。ベン・シャーンの絵はどこかで見た人が多いと思うが、この絵本の
中でゆっくり見ることができる。
ベン・シャーンの描く線は力強くしかも繊細。色彩は哀調を帯びた青に
グレイ、白、やや暗い橙色、黒が基調で、葬り去られる史実を映し出す。
19世紀末、リトアニアに生まれたベン・シャーンは7才のとき家族と
一緒にアメリカに渡る。中学校を卒業してすぐに石版工の見習いにな
り、その後美術学校で学び、独自の画風をつくりあげていったひと。

(後記『石に刻む線』アーサー・ビナード より)
「石版工として、石の抵抗に負けず迷いもぶれもなく線を彫り込むこと
を覚えた。線の力が、もはや自分の気質の一部となり、毛筆で描くとき
でも、私は石に刻む線を描いている、」晩年の言葉。
30才の頃、サッコとヴァンゼッティ事件が起こる。(第一次世界大戦
中、平和主義者でアナーキストであった2人がえん罪で、多くの人々の
反対運動にも関わらず死刑になった事件)べン・シャーンはこの事件に
のことを23の連作にして発表した。そして社会の語り部として、純粋
絵画や壁画だけでなく、雑誌の表紙やさし絵、レコ−ドジャケットやポ
スターも手がけた。人間を直視した彼の最後の連作が「第五福竜丸事件」
だ。久保山栄吉を主人公としたこの作品について、ベンは「彼を描くと
いうよりも、私たちみなを描こうとした。・・・幼い娘を抱き上げた久
保山さんは、わが子を抱き上げるすべての父親だ。」と語っている。


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herosia

この美しさは悲しみを超越している。そしてきわめて理性的だ。そのような作品は希有だが確かに存在している。そのいくつかの中の一つだ。
by herosia (2007-04-10 22:00) 

ゆき

すごさがわかった時に発見がある。またまたすごい画家を発見してしまいました!この分だとまだ知らないでいる宝の山がたくさんありそうです。ところで、4月12日、日比谷野外音楽堂にアーサー・ビナードさんが来るそうなんだけど、講演するのかな。聞きに行かないわけには行きませんね。やはり日本の良心の代表ですか。 C.W.ニコルさんもそうだけど外国から移り住んだ人が、この国のためにがんばっているとは!
恥ずかしいことです・・・。
by ゆき (2007-04-10 22:35) 

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