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天文・「137億光年のヒトミ」(鳴沢真也著)より [読書]


まずこの本の題名について。
海を眺めたとき水平線がある。その向こうは存在していても見えない。宇宙に
もそれ以上見ることができない限界がある。「宇宙の水平線」と呼ばれる。
地球からこの宇宙の水平線までの距離が137億年だそうだ。
中学校の学習のおさらいをすると、この世でもっともスピードが速いものは光、
1秒間に30万キロメートル飛ぶ。光は地球の周りを1秒間で7周半まわる。
この光が一年間に進む距離が一光年。137億光年というのはどのくらいの距離
か、なんて想像すらできないのです。想像不可能・・・。

鳴沢真也著「137億光年のヒトミ」は久しぶりにわくわくする楽しい本だった。
バスの中で読んでいて終点に着いても気がつかなかった。「お客さん、お客さ
ん」と何度も運転手さんが呼んでいる。一体また誰がどうしたんだろう、と思
って周りを見たら、客は私一人だった・・。「スミマセン、ぼんやりしてて!」
とあわててバスを飛び降りた。私は電車やバスを乗り過ごす、という事は絶対
にない人間なのです。
兵庫県の西はりま天文台に勤務している鳴沢さんという人の、天文学への情熱、
というより「愛」がひしひし伝わってきて、感動しつつ、笑ってしまう。
例えば、普通の天体望遠鏡は直径7.5cmくらいで、土星の輪がはっきり見えて
しまうのだが、西はりま天文台に、職員の念願が叶って、何と直径2mの天体
望遠鏡が据えられることになったときの話はほんとうに感動的。

ついにその巨大な天体望遠鏡が入る建物が完成した時の感激ぶりがすごい。
みんなで建物の前で記念撮影をして、涙を流したそうだ。
そしてフランスから望遠鏡の鏡が到着したときは、関西国際航空までみんなで
出迎え、鏡が大撫山に運ぱんされる全行程をビデオで撮ったそうだ。
大型トレーラーの後を車で追い、さらに先回りしてトレーラーが町に入る瞬間
を目で見ようと待ちかまえたという。
(真夜中です。ビデオで撮っていたのは大型トレーラーですよ。どんなに待
ち望んでいたのか、これだけでもわかるでしょう。この時のトレーラーの運
転手さんもきっと、すごく嬉しかったにちがいありません。)
午前4時に町に到着し、それから鏡をトラックに積みかえて山頂まで運んだ
そうです。トラックの他に、クレーン車や何台もの関係車両を従えて・・・。
「日本一の鏡のお通りだい!」と鳴沢さんは思ったという。

さて直径2mの鏡をいよいよ見るとき、運搬中にヒビが入っていやしないかと
全員が同じ心配をして、ふたが開けられ、ついにピカピカの鏡が現れた。
鳴沢さんは鏡に集められた太陽光を一瞬、顔に受けて火傷をしたそうだ。
この間直径30mの天体望遠鏡についてのニュースがあったけど、その鏡に太陽
光が当たったらどうなるの? ぼっと黒こげになってしまうのだろうか。
                                (続く)


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