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フルート発表会〜モーツアルトのアンダンテ [音楽]

さて、モーツアルトのアンダンテを発表会で演奏することになり、練習に取りかかったら、やはり難しい・・。易しくて難しい。
シンプルな曲なので、かえって「とっかかり」が見つからない。

先生曰く、「モーツアルトのアンダンテはハ長調。ハ長調というのはもっとも明るく澄んだ音で、色でいうなら『白』だ」

明るくおだやかで、ドラマチックなところはなく、あっさりした曲、なのである。確かに「白色だな〜」と思う。
「白色」なので、何をどう表現したらいいかわからない。風景が見えてこない。

それで、当たり前のことだけれど「音符の一つ一つを大事に演奏すること」と、自分なりに目標をたてた。
こういう意識で吹いたことはなかったので、この練習は思わぬ楽しさがあり、はじめて「演奏に集中する」ことができた。
それまで、「集中する」ことができなかったのは、一つの音符を大きな流れの中の一石としか考えていなかったためだとわかった。
実際には大きな流れの中の一つの音にはちがいないのだが、全体の流れをつくるのは一つ一つの音であって、それは他の音には置き換えられない大事な音だと気が付いた。(今までいかにきちんと曲と向き合って来なかったか、ということです。)

一つの音の強さ、長さ、響き、前の音と次の音へのつながり、ニュアンスが課題になることが、アンダンテの練習でわかった。今さら・・ですが。
そうなると、演奏するためには全神経を使うことになり、演奏中に他のことが頭に浮かぶことはまったくなくなりました。
以前は、演奏中に「そろそろコーヒーを飲みたいな〜」とか「夕飯は何にしようか」とか、明日の予定だとか、とりとめのないことがしょっちゅう頭に浮かんできて、先生に「演奏中に何を考えていますか」と聞いたことがあるほど。
「自分が出す音と他の演奏者が出す音。」と、当たり前のそっけない答え。

ともかく「白色」のアンダンテの練習のおかげで、やっと練習とはこういうことか、とわかったような気がしました。
モーツアルトのアンダンテは、1992年にムラマツが出したヴィデオ(DVD)『フルート・マスタークラス』という虎の巻があります。(講師;吉田雅夫  フルート; ピアノ;島崎佐智代)

吉田先生の話はモーツアルトの時代の演奏についての細部な事柄に及ぶので、その辺のレクチュアーは最初はとばして、小泉先生の演奏だけ聞いて練習していたけれど、そのうち、この音はどうするのだろうと、いろいろと試している間に、結局、吉田先生の講義のすみずみまで勉強することになってしまいました。

おかげで、全音的半音階と半音的半音階の区別、イ音について、男性終止と女性終止、トリルのつけ方、アンダンテとはテンポだけを示すのではなく音楽的性格を現す、悪魔の音と言われた三全音、ヘキシコード・・などなど、がわかってきました。

吉田先生が「モーツアルトをやるならまず、このアンダンテをやれと師に言われた、なぜかというと簡単な曲の中にモーツアルトを理解するための全てが入っているから」と仰っていますが、
なるほど、私の楽譜にも、ほとんどすべての章節にいろいろと書き込みが入りました。
ブレスのことをこんなに意識したのも始めてだした。練習曲のときはあまり意識していなかったけれど、ブレス記号も音符と同等の細心の注意が必要でした。


一番の問題は音質、音の響き・・これは付け焼き刃ではどうにもなりません。だからレッスンでソノリテ練習の時間があんなに長かったのだ、と今さらわかっても遅い・・。
それを今までおろそかにしてきたので、急に、良い音は出ない。時々はきれいな音をつくることはできるが、全ての音にヴィブラートをかけ響かせるのは非常に難しい。

9月のある日、いつものようにエチュードをやったあと、「アンダンテやってごらん」と言われ、一度ざっと吹いておおまかなチェックが入りました。

それからもレッスンはいつも通りにエチュードの練習だけ。

10月に一回、ピアノ併せ

さすがにこのときのレッスンはエチュードはやらずアンダンテだけで、まず私が吹き、チェックが入り、先生が演奏してみせてくれ、次にまた私が吹いてこの日は終わり。

11月10日リハーサル

その後のレッスンもアンダンテではなくエチュードの練習のみ。

11月23日が本番。あっさりしたもの。

先生の前で吹いたのはリハーサル含めて3〜4回で本番になりました。
発表会というのは日頃の練習成果を発表するだけで、練習曲の練習の方が優先で、発表曲は各自やっておく宿題にすぎない、ということでしょう。

さて、本番の結果は・・
4カ所くらいミスがあり、がっかりでした。リハーサルではミスはなく、もっとうまくいくと思ったのだけれど・・。

あとで録音CDを聞いてみると、音はまあまあ私としてはよく鳴っている。けれどミスがあってはどうしようもない。
吉田先生の教本に「楽譜は絶対に間違えてはいけません」と当たり前のことが書かれている。
確かに、間違えたら絶対にダメなのだ。瑕があっては音楽にならない。それが身にしみて感じられた発表会でした。

発表会は失敗だったけれど、アンダンテの練習効果はかなりあって、集中の仕方がわかったので、今練習しているガリボリディは毎週一曲合格のペースで順調に進んでいます。

先生にも「いい音出るようになった。フルートしているね。」と一度だけほめられ、やっとフルートの演奏とはどういうものかが分かり始め、練習が楽しくなってきました。
練習が楽しくなるまでに3、4年もかかるとは・・。「石の上にも3年」です・・。

2013年のレッスンは、ガリボルディのグランドエチュードのNO.8まで終了して終わりました。

追記;
モーツアルトがアンダンテを作曲したのは1778年で、フルートという楽器も今とはおそろしく異なり、出せる音も限られている。
(フルートに限らず、すべての楽器が今日のものとはちがい、不自由さがあったはず。)
その時代に、200年以上たった今でも、もっとも美しいとされる数々の音楽が作曲されたというのがとても不思議な感じです。

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ウィーンで聴いたモーツアルトのアンダンテ [音楽]

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アンダンテを教えるヴェルナー・トリップ氏

ウィーンの響きとも言えるフルート奏者、ウェルナー・トリップ氏が亡くなってちょうど10年になる。

トリップ氏が亡くなったのは2003年12月15日で、その4ヶ月前の8月、私は幸運にもウィーンでトリップ氏の演奏を聴くチャンスに恵まれた。
ウィーン音楽院での夏のフルートセミナーで、トリップ先生のレッスンを見学し、その夜、ピアノメーカーとして有名なべーゼンドルファーのホールで、教授陣によるコンサートがあり、トリップ先生のプーランクのソナタを聴いた。

思えばいろいろ不思議な巡り合わせで、こんなことができた。
フルートセミナーは公開レッスンではなかったけれど、せっかくのウィーンに来たのだから見学したいと思い、
フルートセミナーの案内に載っていた電話番号に電話をし、聴講させてもらえないか聞いてみたら、翌日にべーゼンドルファーのホールで教授陣によるコンサートがあるからそこで直接トリップ氏に聞いてみたら、という返事だった。
コンサートのチケットはどこで手に入るかと尋ねると、無料だと言われてビックリ!

翌日、夜まで待たずに、とりあえずべーゼンドルファーの会社に行き、セミナー聴講についてどこに尋ねればいいか聞くと、次々とオフィスを回されて、最後に立派なデスクの前に座っている恰幅のいい老紳士の部屋へたどり着いた。

私の話を聞くと、すぐにどこかに電話して「OKだ。トリップ先生が今来てよいと言っている」と言われ、急いでタクシーでウィーン音楽院に行った。

夏休み中のウィーン音楽院はガランとしていて、ピアノやヴァイオリンの音がかすかに聞こえるだけで、どこがトリップ先生のいる部屋かわからない。
ウロウロしていたら偶然近くの扉が開きフルートの音が響いていたので、覗いたら、トリップ先生がにこにこして、「ああ来たか、どうぞ」と部屋に入れてくれた。
そして私が手に持っていた文庫本『ウィーン・フィルの音と響きの秘密/中野雄著』に目をやり、「ああ、彼もこれから来るよ。」と気楽におっしゃった。

何のことかわからずに、ともかく部屋に入って、レッスンを見学させてもらた。
そのときに受講生が練習していたのが『モーツアルトのアンダンテ』。
わざわざ日本から練習に来る人がいるんだな〜と感心したが、その頃はフルートを本格的に勉強していたわけではなかったので、そのときの指導がどうだったのか、は残念ながら覚えていない・・。

アンダンテはとても易しい曲なのに、一小節ごとに、「そこはそうではない。こうだ。」と一つ一つ丁寧に直し演奏して見せていらっしゃったことだけ印象に残っている。

しばらくして一人の婦人(トリップ先生の奥さんだった)と日本人の男性が部屋に入ってきたが、この方が私が持っていた『ウィーン・フィル音と響きの秘密』の著者の中野雄氏だった。

このときの偶然は、思えばとても不思議なことで、幸運の女神が微笑んでくれた、としか言いようがない。一生に一度はこういうこともあるのだろう。
その頃ちゃんとレッスンを受けていなかったことが悔やまれる。せっかくのアンダンテのレッスンも「猫に小判」に近かった。


レッスンが終わり、トリップ氏とウィーン音楽院の庭を歩いた。
「今日はこれからコンサートの準備があるから付き合えないけれど、美味しいレストランを案内しよう」と言うので、その時の受講生の方たち、中野さんと通訳の人と一緒にレストランまで行った。
このとき食べたのは <きのこのシュニッツェル風?
 Kartoffel Schwammeristrudel mit Krautersauce>で、それがあまりに美味しかったので翌日も食べに行ったほど。残念ながら日替わりメニューなので食べることはできなかったけれど。

夜のべーゼンドルファーのホールでのコンサートで聴いたトリップ氏の「プーランクのソナタ」はそれまでにCDやリサイタルで聴いた音楽とはとても違っていて、重々しく、こういう表現をするのか、と感嘆したのだった。


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ウイーン音楽院

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フルートレッスン(21)〜一冊のエチュードに一年半〜 [音楽]

9月から『ガリボルディのグランドエチュード』の練習に入った。(もう11月ですが・・)

考えてみたら、『アンデルセン24の練習曲』を終えるのに1年半かかっている。7月の最後の週にちょうどNo.24で、当然ながら一回では合格できるはずもなく、そのまま8月は自主夏休みにしたので、だらだらとNo.24を練習していた。

9月の一回目のレッスンで合格、やっとアンデルセン24は終わったけれど、
「8月にレッスンを休んだからパワーが落ちている。来年は夏休みは取らないように」と言われてしまった。
来年の8月の日程を告げられ、ここは大丈夫かと聞かれ、絶句です・・。
来年の8月の予定なんて・・!

音楽家というのは常に一年後、数年先のことまで考えている。
私みたいに趣味でやっているずぶの素人は「一瞬先は闇」みたいな気楽さで練習しているので、一年後のことを聞かれても返答のしようもない。
「はぁ、まだはっきりはわからないんですけど・・」とムニャムニャ答えてごまかした。

先生は今年のリサイタルの準備をしながら来年のホールの予約もしてしまう。曲目も大筋のところは決めてしまい、再来年の曲目まで考えている。

この私はと言えば、計画を立てることが一番きらいで、予定を入れるのがすごく嫌なのである。自分で決めた予定でも束縛されているようでストレスを感じてしまう。

毎年11月に生徒の発表会があるが、私はいつもパスしている。
発表会参加となれば、練習も休めなくなるだろうし、普段の練習だけでも大変なのに、ピアノ併せ、リハーサル、本番が予定に入ってきてしまう。
ところが、今年はなんとなく断るきっかけをなくし、発表会参加になってしまった。

「『フルート名曲集31選』から自分の一番好きな曲を選びなさい」と言われた。
『アルルの女』がいいかな〜と思ったら、それはK君がやるから別の曲で、と言われた。(Kさんはすごく上手い人なので、私の出る幕じゃない。)
それで「『モーツァルトのアンダンテ』か『フォーレのシチリアーノ』のどちらかにします。」と答えた。
しばらくその二曲を交互に練習したみると、アンダンテの方が飽きずにきちんと取り組める感じ。

先生からわざわざ電話があり、「アンダンテの方が曲がしっかりしているからそっちにしなさい」。
やっぱりね・・。モーツァルトは何といっても別格です。

というわけで、ガリボルディの練習の合間にモーツァルトを目下、練習中。
ガリボルディはアンデルセンより簡単な気がするけれど、要所要所に筋肉トレーニング(とくに日常使わない薬指のトレーニング)みたいな部分が入っていて、これはこれで難しい、です。

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小泉浩・木村茉莉「フルートとハープ魅惑のコンサート」 [音楽]

2013年 / 10月17日(木)7時〜 、10月18日(金)2時〜
大泉学園ゆめりあホール

<プログラム>

・「歌の翼」による幻想曲   シュトゥックメスト
・アンダンテ         モーツァルト
・シチリアーノ        フォーレ
・ファンタジー(ハープソロ) サンサーンス
・巡り(フルートソロ)    武満 徹
    ーイサムノグチの追憶にー
・精霊の踊り         グルック
・ソナタ           ドニゼッティ

     ー  休憩  ー

・ノクターン         瀬下健二
・間奏曲           イベール
・シチリアーノ        バッハ
・タンゴ(ハープソロ)    ダマーズ
・赤とんぼ          山田耕筰
・中国地方の子守歌      山田耕筰
・ハンガリア田園幻想曲より  ドップラー

(アンコール)
シモネッティー        マドリガル

小泉浩の音色は、山の中の静かな林、澄んだ空気、そこで囀る小鳥の声・・のように、明るくきらきらしている。これが銀のフルートの音色。
ハープの優雅な響きと見事に調和して、これ以上の組み合わせはない、という感じがする。

悲しみや怒りや不安を鎮める音というのはこういうのを言うのだろう。
小鳥のさえずりを聞いたときに感じる楽しさと同じ楽しさを感じる。

ゆったりした曲目が並ぶ中で、イベールの間奏曲はひときわ印象的だった。
「小泉先生の音色でぜひサンカンとかを聴きたいです。」と言ったら、
「無理。もう指が回らない。」

やはり、演奏してほしい。小泉浩にしか出せないあの音色で、もっといろいろ演奏してほしい。

コンサート終了後CD(2枚組)も買った。

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演奏: 小泉浩, 山口恭範, 野平一郎, 佐藤紀雄, 篠崎史子他
作曲: 福島和夫, 武満徹, 一柳慧, 毛利蔵人, 近藤謙, 池辺晋一郎, 山田泉,
外山三保子, 湯浅譲二, 福士則夫
(1997年レコードアカデミー賞受賞)

来年は10月6日だそうです。

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柳原佑介フルートリサイタル [音楽]

2013年10月15日
スペースDo にて (管楽器専門店ダグ地下)

柳原佑介(フルート)  鳥羽亜矢子(ピアノ)

Program

W.A.モーツァルト / ロンド
P.ゴーベール / ファンタジー
P.サンカン / ソナチネ
尾高尚忠 / フルート協奏曲OP.30B

ー休憩ー

J.S.バッハ / フルート・ソナタ ロ短調 BWV1030
C.アルフテル / デブラ
A.ジョリヴェ / リノスの歌

(アンコール)
ムーケ / パンの笛


CDアルバムのような充実したプログラムだった。
プログラムを見て、とても懐かしく感じ、フルートを始めた頃の自分を思い出した。
フルートを練習し始めた頃は、フルーリィ、パユ、ニコレ、ゴールウェイら巨匠たちのCDで、繰り返し、繰り返しこれらの曲を耳にこびりつくほど聴いていた。
一万回練習すれば素人にでも吹けるようになるだろうかと思い、バッハのソナタなどを、一年間くらい、毎日何回も、吹いていたことがある。(もちろん吹けるようにはならなかった。)
いくら繰り返し練習しても決して吹けるようにならないとわかったのは、きちんと師についてレッスンを受けるようになってから。

エチュード(練習曲)というのは、いくら退屈でも意味のないものはなく、実にうまくできている。外堀をていねいにていねいに埋めて行くより他に、本丸にたどり着く道はない。
子供の頃から始めればゴールできるかもしれないが、年を取って始めたのでは、残念ながら永遠にゴールにたどり着くことはない。絶対的に時間が足りない!

フルートレッスンを受けるようになってから、CDを聴くことが少なくなってしまった。時間がないのだから、聴く時間があれば、それを自分の練習にあててしまう。

そういうわけで、今回の柳原佑介のリサイタルは、フルートの素晴らしさに感動していた頃の気持ちを、思い出させてくれ感動した。
柳原佑介氏は現在は都響の首席奏者だが、実は15年前の日本音楽コンクール(氏が芸大生だった頃)から、その名前は知っていて注目していた。

リサイタルを聴くのは今回初めてだったが、もともとリサイタルはめったにやらない方らしい。(ご本人がそう仰っていた。)
だから、いろんな意味で、『珠玉のコンサート』だった。
やっぱりフルートを吹くというのは、あんな風でないと・・と思った。言葉にするのは難しい。変な言い方だけれど「水を得た魚のよう」とでも・・?
魚は、「奏者」および「フルートという楽器」のこと。やるべきことを自然に楽しげにやっている。自由でのびやか。
だから聴いている方も、水の中で魚と一緒に泳いでいるようなゆったりした夢のような気持ち。

鳥羽亜矢子さんのピアノの伴奏が、また、素晴らしかった。
最初の一音からして、なんてきれいな音を出すのだろう!と感じ入った。こんなにきれいで優しい音で演奏するピアノはあまり聴いたことがない。
私のフルートの先生は「ピアノはうるさいからだめ」と、ピアノ伴奏はめったにやらないが、鳥羽さんのピアノはただただ美しく、柔らかな響きだった。

ヴァイオリニストの五嶋龍氏との共演はさぞかし華麗でしょう!

というわけで、台風前日の雨の中、バス電車を乗り継いで出かけて本当に良かった。聴かなかったらものすごく損をするところだった。
今日のプログラムについて柳原佑介さんが、聴く方々には少々きついプログラムだったかもしれません、と述べられて、「えっ、そんなことは全然・・、すごく良いプログラムだった!」と思ったけれど、考えて見れば、フルート吹きでなければ馴染みのない曲だろうし、そうなると、かなりハードだったかもしれない。


さて、明日は昨年にひき続き、

小泉浩と木村茉莉による
『フルートとハープ 魅惑のコンサートII 』です。

場所;大泉学園ゆめりあホール
日時:10月17日(木)7時〜 / 18日(金)2時〜


コンサートというのは立て続いてしまうもので・・「芸術の秋」ですからこれも仕方がありません。
プログラムは、「歌の翼」による幻想曲、モーツアルトのアンダンテ、フォーレのシチリアーノ・・などなど、フルート演奏をする人でなくても誰でも知っているきれいな曲ばかり。見逃せませんよ。

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飯綱高原サマーコンサート [音楽]

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8月3日(日) 飯綱高原 ペンション・ドルチェ・コンサートサロンにて

昨年に続いて飯綱高原でのクラシックコンサートに行きました。
今回は、フルート、チェロ、ピアノ、ヴァイオリンによる演奏でした。

フルート:黒田育子  チェロ・ヴァイオリン:伊藤耕司 
チェロ:西方正輝   ピアノ:坂本綾希子  高橋ドレミ

(プログラム)
プーランク / 愛の小径
シューベルト /アルペジオーネ・ソナタ
ビゼー / アルルの女よりメヌエット
フォーレ / ファンタジー
R コルサコフ / 熊蜂の飛行
カサド / 親愛なる言葉
ポッパー / 妖精の踊り
砂原嘉博 / カンツォーネ・メドレー

(アンコール)ピアソラ / リベルタンゴ

高原で生の演奏を聴くというのは特別な雰囲気があります。
ドルチェ・コンサートサロンはこじんまりしていて、演奏者との距離が近いのも味わいがありました。
プログラムの構成が良く、好きな曲ばかりで(こんなに一度に聴いていいのかと思う名曲ばかりで・・)とても楽しめました。

印象的だったのはチェロの響きでした。
私はフルート吹きの端くれ(といえるかどうか?)ですが、いかにフルートの音色が明るく澄んでいて、小鳥のさえずりのような楽しい感じ、あるいは、風のような精霊のような響きを持っていても、弦の表現力には到底かなわないものだ、と常々思っています。

このコンサートでもチェロの表現力には圧倒され、感動しました。
同じチェロでも伊藤耕司と西方正輝の音色はかなり違っていて、伊藤耕司の音はやわらかく糖蜜のような感じ、西方正輝の音はざらざらと突き刺すような響き。(もちろん曲によってそれは当然変わるわけですが・・。)

最後の「砂原嘉博 / カンツォーネ・メドレー」は初めて聴きましたが、センスがよく楽しいメドレーでした。
アンコールのリベルタンゴがコンサートを盛り上げていましたね。
やはりピアソラはいいです!

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コンサートの後のティータイム

コンサートは飲み物付きで1000円、という安さでした!
また来年も楽しみです。
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ダニエル・ハーディング/マーラー・チェンバー・オーケストラ [音楽]

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(2013年6月15日  軽井沢大賀ホールにて)

ダニエル・ハーディング指揮 /
クリスティアン・テツラフ  ヴァイオリン
マーラー・チェンバー・オーケストラ

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<プログラム>
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』


プログラムノートから抜粋すると、

<マーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)について>

1997年クラウディオ・アバドの援助のもとで、グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団の旧メンバー有志によって結成された。今年は16周年。(ちなみに、グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団は1986年にクラウディオ・アバドにより設立された。団員資格は26歳以下であり、ヨーロッパの25都市で毎年オーディションを開いている。)
つまり若き演奏家の先鋭たちによるオーケストラであり、世界最高峰のオーケストラの一つと賞賛されている。
特定の年に帰属せず、ツアー型の常設団体。
正団員は45人、ヨーロッパの諸都市に住み、20の国籍からなる多彩な顔ぶれ。日本人としてはオーボエ奏者の吉井瑞穂さんがいる。
年間200日間、世界のコンサートホールや音楽祭で演奏活動を行っているという凄いオーケストラだ。軽井沢に来る直前まで、一週間オーストラリアでのコンサート活動だったそうで・・。


<ダニエル・ハーディングについて>
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1975年イギリス生まれ。音楽高校生の頃からサイモン・ラトルのアシスタントを務め、19才でバーミンガム市交響楽団の指揮でプロデビュー。21才でベルリンフィルでのデビューし、世界の有名なオーケストラの首席指揮者、音楽監督を歴任。(書ききれません)
現在は、スェーデン放送交響楽団の音楽監督、ロンドン交響楽団首席客演指揮者である。
日本では、10、11年シリーズから新日本フィルのmusic Partner of NJP に就任している。日本びいきで、あの2011年3月11日にもコンサートを中止せず、マーラ5番を振ったという話は話題になった。
2012年4月より長野県の軽井沢大賀ホールの芸術監督に就任している。

私がはじめてダニエル・ハーディングの指揮を見たのは、2007年4月ロンドン交響楽団のマーラー5番(このときハーディングは32才)、そのあと2008年2月東京フィルハーモニーのマーラー6番、12月新日本フィルの『新世界より』だった。
あれからもう5,6年になるが、今年が38歳、相変わらずまだ若いのである。
すごい経歴の持ち主のため年令というものを超越している。
素顔のハーディング氏はほっそりと華奢な体型で、一体どこからあんなエネルギーが出てくるかと不思議になる。


<クリスティアン・テツラフについて>
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ドイツ出身。
ソリストとして、スェーデン放送響、バイエルン放送響、ベルリンフィル、パリ管、ニューヨークフィルに客演し、現代を代表するヴァイオリニストの一人である。
CD分野では、代表的なヴァイオリン協奏曲を全て録音し、その多くが批評家賞を受賞している。
6月22日、サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルのヴァルトビューネ・コンサート(野外コンサート)ではメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏予定。


さて、運良くチケットが取れたけれどA席(ダニエル・ハーディングとMCOの組み合わせで1万円とは、破格の安さ!)で、一階の前から3列目の真ん中の席だった。
座ってみて「ちょっと近すぎるんでは・・」と不安になった。
指揮台から3,4メートルしかない。

(一部 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61)
 
演奏が始まると、座席があまりにも間近なため、テツラフの奏でるヴァイオリンの音が耳元を直撃し、ピアニッシモからフォルティッシモまでものすごく生々しかった。
不安的中か、と思ったけれど、人の耳はうまく適応し馴染んでいくようにできていて、途中からは生々しさも気にならなくなった。
巨大なホールでない限り、音は後ろの席の方がまとまってきれいに聞こえるし、2階席の正面なんかだと本当にきれいに聞こえる。

そうは言っても、指揮者というのはもっと演奏者に近いのだから、この近さで私が聴いている音が、ハーディングが聴いている音なのだ、と思った。
テツラフはすごかった。耳元で超一流の演奏を聴くというのはなんとも不思議な体験だったし、疲れた。


(二部『新世界より』)

『新世界』を生のオーケストラで初めて聴いたのは、2002年、横浜のみなとみらいホールでのこと。
イヴァン・フィッシャー指揮、ブダペスト祝祭管弦楽団だった。
『新世界』は、中学校や高校の教材に使われているし、「家路」のテーマはあまりに頻繁に聞くため、コンサートで聞いてみようとは思わなかった。
ところがこのときのブダペスト祝祭管弦楽団の演奏で目が覚めた。

その後は、CDでたまに聞きたくなる曲の一つになった。
今回は2002年以来の生オケの『新世界』。

ハーディングの「魔法の手」は、ますます磨きがかかったようで、ほとんどリズムというものを刻まず、まるで筆で自由に絵を描いているようだった。真似しようにもどうにもできないのであった。
描かれる『新世界より』は、やはり感動的だった。
聴けて良かった、と思った。



(追記)
6年前の東フィルのマーラー6番のコンサートの翌々日、ダニエル・ハーディングのトークショーがあり、わざわざ池袋まで出向いた。クルーネックの紺のセーターを着たほっそりした熱意にあふれた若き俊英の姿はけっこう印象に残っている。
指揮法を説明するのに「みなさん、乗馬をやるときのことを考えてみてください」と・・。会場のトーンがなんか静まった。(乗馬なんて、日本じゃあまりやらないんもので・・)
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初心者フルートレッスン(20)〜練習曲のポイント〜 [音楽]

2月9日、アンダーソン16番合格

これは二週間で仕上がりました。
二週間というのは一番スムーズな進み具合。
一週間練習をして先生に悪いところをチェックしてもらい、次の一週間で完成させるというのがちょうどいいペースです。
あまり長引くと集中力がなくなり、結局練習もだらだらしてしまい、時間をむだにしてしまう。

16番の練習はスラーのかけ方を正確にすること。
譜面を見て、これは何の練習のための曲か、ポイントを意識するようになりました。
十分にヴィブラートをかけようとするとどうしても息が足りなくなります。
譜面には最小限のブレス記号がついていますが、それ以外は自分でどこでブレスをするか決めなければならない。それがいい加減だとフレーズの途中で息が続かなくなってしまう。

16番は、どこでブレスをすれば良いかを、さんざん考えました。
何度も鉛筆で印をつけ、また消して別の場所にしたり・・・と、ぎりぎり前日まで考えて、まあまあ納得できる場所を決め、先生の前で演奏したら合格でした。
「どこでブレスをするかがすごく悩んだのですが・・。」と言うと、
「あ〜それでいいんです。この曲はブレスする箇所について、うんと考え、悩んでいい。」
ブレスはもちろん一通りということはなく、数通り考えて、自分がもっともやりやすいところを決めるということでいいようです。
練習ポイントが譜面を見たときにわかるようになってきたのは、多少の進歩?

ところで、この16番は、練習期間中に大好きな(というより心の支えだった)馬が亡くなり、心の中で泣きながら練習したため、忘れられないエチュードとなりました。

先生に「馬が死んだんです。」というと、
「えっ、あのスノーフレークが?」という聞かれすごく驚きました。
「名前覚えていらしたんですか・・?!」
4年前くらいに先生が乗馬体験をされて、そのとき乗ったのがスノーフレークでした。
そのときの写真を2枚、今でも壁に貼ってあるそうです。私がスノーは本当に名馬だった言うと、「オレはいい馬に乗ったんだな〜」
まさかこんな思いもかけない場所で、スノーフレークの名前を聞くとは思いませんでした。大先生に名前を覚えてもらえていたスノー、やはり立派な馬だったんだなぁ・・。

P9084818.jpgひき馬で初めての乗馬体験
P9084823.jpg一人で乗るのに挑戦した先生


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エリアフ・インバル/都響のマーラー5番 [音楽]

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2013年1月20日 池袋芸術劇場にて

モーツァルト:フルート協奏曲第2番
         フルート:上野由恵
マーラー交響曲第5番

今年初のコンサート。
というより、最近コンサートに行くチャンスがなかったのでものすご〜く久しぶりのコンサートでした。
エリアフ・インバルのマーラー5番なら2013年のスタートとしては願ってもないプログラム。
今回は一番安い4000円の3階席でしたが、これが思わぬ良い場所で、中央の舞台がよく見える。席につくと、舞台上では楽団員がそれぞれ練習していて、交響曲の中のお馴染みのメロディがたくさん聞こえてきて、一気に気分昂揚です。

プログラムは、一部がモーツアルトのフルートコンチェルト2番(上野由恵)、二部がマーラー5番とあって、これで4000円でいいのかな・・?と困ってしまうような贅沢さ。

いざ演奏が始まると、やはりモーツアルトはいい。
18世紀の音楽がこんなにいいなんて信じられない、とため息です。フルートコンチェルト2番は、これまでに数限りなく聞いた曲ですが、なぜか最近は聞いてなかったので懐かしさと新鮮さを感じました。

二部のマーラー5番。
登場したエリアフ・インバル先生、とてもお元気そうでした。
緊張のトランペットソロ、なかなかしぶい音色だと思いました。
そして、都響は、弦の音がとてもきれい。
3階の私の席からは楽器の音が、ここから・・あそこから・・と、はっきり場所までわかり、ものすごく立体的に聞こえるのです。
どの楽器がどういう旋律を演奏し、全体としてこういう音を作っているというのが手に取るようにわかり、すごく興味深かったけれど、ものすごく疲れました。

コントラバスはこう演奏し、チェロはこうで、ビオラはこう、そこにヴァイオリンの音がこうかぶさる。管は今誰が吹き、どう他の管につながっていくかがわかってしまう・・。
1階で聴いたら、すべての音がうまく重なって、統一した一つの響きとして聞こえるのでしょう。3階はまるで指揮者の気分を味わったような気がしました。

それにしてもマーラーはどうやってこういう曲をつくったのだろう?
マーラーに限らず、そもそも、作曲家の頭、耳というのはどうなっているのか・・
音のイメージをどう作るのか・・こんなたくさんの楽器の、それぞれの細かい演奏をどう作り、どう組み合わせてイメージに合わせていくのか?
非常に不思議です・・!


演奏終了後は大変なブラボーでした!
3階席の人たちはブラボーというより「ウォー!!」と吠えているみたいで。
拍手に答え何度もステージに出て挨拶されていたインバル先生。

帰りに劇場の裏出口を通ったら、インバル氏を待つファンがいて、つい私もそこにいたいと思ったけれど大人げないので止めました。
それにインバル先生のサインはもう前にもらったことがあるので、こんな寒い場所ではなく、またの機会に。。と思っています。


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朝日カルチャーセンターでのマエストロ(2007年12月)


マーラーとエリアフ・インバル氏について覚え書き;

http://sachat06.blog.so-net.ne.jp/2007-12-14
http://sachat06.blog.so-net.ne.jp/2007-12-16

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初心者フルートレッスン(19)〜楽器が鳴り出した〜 [音楽]

1月12日から今年のレッスンが始まった。
昨年の最後のレッスンが12月22日だったので20日間ぶり。

12月は15日、22日とアンダーソン14番を見てもらい、年度中にきりよく終わらせたかったのだけれど・・。
自分ではまあまあかなと思っていたのに、アンブシュア(唇の形作り)がダメだと、「根本的なこと」を注意され不合格! 結局、年を越してしまった。

次は20日も先だと思ったら、もう全くやる気をなくしほとんど練習をしなかった。
1月12日(今年の吹き初め)のレッスンで、なんとか合格したが、14番はちょうど一ヶ月かかったことになる!

「年末年始は忙しくてまったく練習しませんでした」と言い訳けし(本当は忙しくなんかなかった・・)、先生から「何にも練習しなかったのがかえって良かったのかな、音がよく出ている」と言われた。それって練習してもしなくても同じ、ということでは?
まあ、習い事には休止期間も効を奏すことがあると言われているのだけれど、たまたま調子が良かったとしか言いようがない・・。

私の楽器はヘインズの1948年製(製造番号19897)なのだが、あまり使用されていなかったらしく外見は新品同様にきれいで、吹き込んでいくにつれ音が少し変わり、響きも良くなってきた。
もともとの繊細な音に加え、豊かで力強い音も出るようになってきた。
楽器は使っているうちに鳴るようになったり音質が変化するのがまるで生きているみたで不思議。
先生曰く、「歌口の奥が黒ずんでいぶし銀のようになるのがいいんだ」
音質の変化は、「分子構造が変わるためと言われている」そうな。

上手な人に吹いてもらうと楽器が良くなる、とも言われる。

それとは違う話だけれど、良い楽器を吹いていると、安物の楽器でも良い音が出るようになる、ということもある。

さて、先日19日のレッスンはアンダーソン15番で、これはもう本当に嫌な曲で、譜がいつまでも読めず、胸がざかざかするばかりで、練習意欲がどうしても出なかった。すらすらできるようになったとしても何にも気持ちが良いところがない曲だと思った。
レッスンぎりぎりまでイライラしながら練習し、

結局「まったく歯がたちませんでした!」と言うしかなかった。
「どうして?何でもない曲じゃないか」と言われ、例によって、先生が吹き、それに合わせてドレミで歌わされた。(これが一番つらい、声がつぶれていて歌えないので・・)
その後、もう一回やらされ、なんだか、今までで一番スムーズに吹けた。

「どうしようかな?こういう曲(全部がスタッカート)は実際にはないし、面白くない曲をやっても意味無いから、これで終わりにしよう。次は16番やってきなさい」と言われた。

やれやれ、不快な15番から解放された!!
(うちの猫たちも、辛抱強くよくつき合ってくれました。)

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